マンション大規模修繕日記

マンション大規模修繕業務に係わる日記です。

設計コンサル選定プレゼンテーションで何を聞くか?

設計コンサル選定プレゼンテーションで設計コンサルに何を質問すれば良いか?わからないという声を聴きます。

理由を聞くと「私たちは素人だから専門的なことが分からない」と管理組合の皆様はおっしゃいます。

別に専門的なことを聞く必要はないのです。

設計コンサルを見極めるための質問です。

マンション大規模修繕工事界隈で今、一番ホットな話題と言えば、ズバリ「施工会社の談合問題」ですね。

それでは、「御社は施工会社の談合防止に対してどのような具体的な方法を取っていますか?」と聞いてみるのも良い方法かと思います。

「不良コンサル」以外は談合問題に対して、組合員から指摘されることを恐れ、ピリピリしていて、真面目にどうすれば良いか悩んでいますので、「急に言われても困る」とか「準備していない」ということは無いかと思います。

専門家ではない皆様にわかりやすく、納得できる説明が出来たコンサルを評価してはいかがでしょうか?

そして、発注した場合は提案の通りに実施してもらえば、談合防止に一役買うかと思います。

ちなみに「首都圏で談合会社と認定された会社は見積に参加させない」と言うのは、首都圏を始め全国展開をしている施工会社の支店が北海道にもいくつかある中で、消極的で安易な対策だと思います。(実際にそのように強く主張をされた理事さんがいた組合もありました)

果たしてそれだけで、談合問題が万事解決するのか?と感じます。




悲しいことに

マンション大規模修繕工事の談合報道の中で、設計コンサルの関与が認定されたと報道では伝えられていますが、どのようにして不良設計コンサルが管理組合と契約ができたのか?選ばれたのかについては、ほとんど報道されていません。

談合問題は設計コンサルを選ぶところからすでに始まっていて、そのタイミングでちょっと気を付ければ、不良コンサルと契約することを防ぐことはさほど難しくないのに・・・

・設計コンサルを見積金額の安さを最大の理由として選ぶことを辞めること。

・どのような設計コンサルと一緒に大規模修繕工事に取り組みのたいのか?
 どのような大規模修繕工事としたいのか組合内で話し合う事。

これだけで、ずいぶんと違ってくるかと思います。

現在2028年工事のための設計コンサル選びが日本全国多くのマンションで行われています。

・設計コンサル選定時に複数の会社から見積だけ徴収して、プレゼンテーションを行わない。

・プレゼンテーションを行っても1社あたり20分程度の会社アピールだけになっている。

・設計コンサル選びを管理組合が主導しないで、管理会社等にほとんど人任せにしている。

・人任せにしているので、プレゼンテーションの席上で設計コンサルへの質問はほとんどなく、出たとしても「お見積りかたいくら安くなりますか?」なんて質問のみ。

こんな設計コンサル選びとなっている組合は要注意です。

「結局、各社の提案内容には、大きな差は見られませんでしたので、見積金額が一番安い会社を選ぶことが管理組合の為でこの様にしておけば総会で異議は出ません」

こんな「選定のキーマン」の発言とともに「見積金額の安さだけ」を根拠に不良コンサルの選定がつつがなく進んでいるかもしれません。

お気をつけください。

やっと処分が発表されました。

2026.9.28読売新聞からの記事により引用します。

関東のマンション管理組合が発注する大規模修繕工事で談合を繰り返したとして、公正取引委員会は28日、設計コンサルタント会社2社と修繕工事会社40社の独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、うち38社に再発防止を求める排除措置命令を出した。併せて、工事を受注した修繕工事会社には計16億3788万円の課徴金納付を命じた。

マンションの大規模修繕工事を巡り、公取委が行政処分を科すのは初めて。談合の対象となったマンションは、関東1都6県で171件に上る。住民の信任を得て業者選定の支援を行う設計コンサル会社が工事会社と癒着することで、工事費用がつり上がり、住民側の負担が増すという構図になっていた。公取委は住民が確認できるよう、対象のマンション工事をホームページで公開した。

排除措置命令を受けたのは、設計コンサルの「翔設計」(東京)や「リノシスコーポレーション」(大阪)の2社と、修繕工事会社は「長谷工リフォーム」「シミズ・ビルライフケア」(いずれも東京)「伊勝」「富士防」(いずれも神奈川)など36社の計38社。既に解散したり、吸収合併されたりした3社と、課徴金減免制度(リーニエンシー)で不正を申告したYKKAPラクシー(千葉)は免れた。

 発表によると、各社は2021年秋頃〜25年3月、マンション管理組合が発注する大規模修繕工事で、事前に相談して工事の受注会社などを決めていた。設計コンサル2社は、工事会社側と相談して受注業者を決め、工事の予定価格にあたる「設計予算」を教えたり、談合に加わっていない業者の見積もり価格を伝えたりしていたという。  以上

この調査で今回の談合は、関東地方で業務をおこなっている大手の設計コンサルの関与も明らかになりました。

建物調査診断業務の見積依頼(続き)

建物調査診断業務の見積依頼の続きです。

数年前までは、マンション大規模修繕工事費は横ばい状態が続き、次のような方法で算出した「工事概算金額」でも、施工会社から徴収する「工事見積金額」と差が無く大きな問題は起きませんでした。(「工事概算金額」が施工会社から提出される「工事見積金額」を大きく上回ると工事予算が成立しなくなりため、大きな問題となる)

「工事概算金額」を前回工事費×1.1で算出し提出しても設計後に施工会社から徴収する「工事見積」との誤差が少なかった。(多くの場合「見積金額」が「工事概算金額」を下回ったため、問題とならなかった)

1回目の大規模修繕工事の「工事概算金額」も、同等規模で近似形状のマンションの工事費が流用しても同様に問題は起きなかった。

しかし、低金利が続き景気が回復し新築の建設業が忙しくなってくると、徐々にゼネコンは本業の新築工事にシフトし、マンション大規模修繕から撤退します。更に建設業の労働力不足もあり2020年以降、工事費はジリジリと上昇しはじめます。

そして、2022年ウクライナ戦争が勃発し、工事費が大きく上がり更に今年2月には米・イラン戦争によって材料費の上昇と供給不安が重なり、2008年の頃と比べると工事費が1.5倍から2倍となっている工事項目もあります。(工種や材料によって上昇幅が異なります)

以前と同じように、「工事概算金額」を「前回工事費×1.1で算出する」「同等規模で近似形状のマンションの工事費を流用する」といった方法で、管理組合に提出すると後に行う実施設計で数量積算を行いその時点の工事単価を入れた精度の高い見積資料を作ると、施工会社が提出した「工事見積金額」が「工事概算金額」を大きく上回ってしまい予算超過となります。こうなると管理組合から「大金を払ってプロに任せたのに、工事金額の誤差があまりにも大きく工事の発注ができない。この設計コンサルは信用できない」と問題になりました。

管理組合は設計コンサルが調査診断時に提出した「工事概算金額」を基に大規模修繕工事の予算組みますので、施工会社から徴収した「工事見積金額」の差が大きいと(特に高くなってしまうと)根本の予算組みが根本から狂ってしまい、最悪工事が発注できなくなります。

このような事情から多くの設計コンサルでは、もはや「建物調査診断」だけでは受注し「工事概算金額」を提出することはおおきなリスクを抱えることとなっています。

調査診断時に提出される「工事概算金額」であっても管理組合はある程度精度の高い「(予算の組み立て可能な)工事概算金額」を求めますので、設計コンサルとしては「調査診断業務」と同時に「改修設計業務」を受注し数量積算、最新単価で算出した「設計工事費」を「工事概算金額」として提出せざるを得ない状況です。

この様な「以前とは全く異なる状況」を管理組合の理事会や管理会社はご理解頂けて無いようです。

建物調査診断業務の見積依頼

マンションが新築からもしくは前回の大規模修繕工事から10年を過ぎると管理組合もしくは管理会社から設計コンサルに「建物調査診断」の見積依頼が来ます。以前であれば、各設計コンサルとも普通に見積を作成して提出していましたが、最近はちょっと事情が変わってきました。

多くの設計コンサルが「建物調査診断だけでは御見積が提出できない」となっています。
「調査診断と同時に改修工事設計の業務も発注していただけないなら御見積は提出できません」としている設計コンサルも少なくない様です。(管理会社の方から伺いました)

なぜ、このような事態となったのか?

その原因は、建物調査診断業務に付随して、組合から提出を要求される「工事概算金額」のためです。このほんの数年で「工事概算金額」が管理組合と設計コンサルの間で大きな信用問題、トラブルを引き起こす最大の原因となっています。

なぜ、「工事概算金額」が管理組合と設計コンサルの問題の原因となっているか?

話ははるか20年ほど前のリーマンショックの頃までさかのぼります。

2008年9月リーマンブラザースという銀行の破産に端を発したアメリカ合衆国の不動産に端を発する金融破綻が全世界を駆け巡り、信用不安から至る所で融資がストップしはじめ、やがてわが国の不動産、建設業界を直撃しました。

具体的な影響として、多くの民間の新築建築工事が中止となり、ゼネコンと言われる総合建設業者は途方にくれました。「工事は行ったが、支払いがされない」「工事途中で工事が止まる」といった事態にもなりました。不動産会社や建設会社は、あっという間に倒産や合併が日常のこととなってしまいました。

そんな時に唯一、安定して発注が続いたのが、マンション大規模修繕工事です。
しかも工事の原資が修繕積立金ですから、工事竣工後に回収不可能となることはありません。

仕事が無いゼネコン(総合建設業者)が大手から中小までこの業界にこぞってマンション大規模修繕業界へ参入してきました。新築工事に比べ多少工事費が安くても、確実に支払いがあることはこの時期に何よりのメリットです。

多くの施工会社が参入したため、過当競争となり、建設工事価格は市場価格ですので、工事費は横ばいどころか物件によっては下がりはじめ、その後しばらく「マンション大規模修繕の工事費は上がらない」のが当たり前となりました。

リーマンショックの影響は10年以上続き、その間大規模修繕工事費はほぼ横ばいのままでした。

そのため、設計コンサルにとって工事予算を組む基となるある程度の精度がある「工事概算金額」を建物調査診断と同時に管理組合に提出することは、さほど労力の掛かる難しい事ではありませんでした。(もともと調査で提出する概算金額を積算して算出する費用=設計費は見ていない)
(続く)

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