マンション大規模修繕日記

マンション大規模修繕業務に係わる日記です。

2027年に大規模修繕工事を考えている組合様へ

前回の大規模修繕工事に比べ、施工会社選定のタイミングが大幅に前倒しとなっておりますので、お気をつけください。

只今2025年5月の上旬ですが、今年2025年の秋工事の施工会社選定はどの施工会社も終了しているかと思います。

弊社の例で言いますと2025年工事の選定(施工会社ヒヤリング)が終了したのは、2024年11月上旬です。

現在公募を行い、見積を徴収している物件は、2026年(来年)の春又は秋工事です。

これが10年前であれば、その年の秋工事の施工会社選定を連休頃に行っていました。

マンション大規模修繕工事を行う施工会社が減ったため(只今、ゼネコンは、ほぼマンション大規模修繕工事を行っていません)年々施工会社の選定が早まっていき、今では工事前年の出来るだけ早いタイミングで(3月以降)に公募をかけ、見積を依頼する様な流れになっています。

ゼネコンの撤退により、マンション大規模修繕工事を行いたい管理組合の数に比べ、施工会社ができる工事量の方が少なくなっている感じです。

そのため、秋の終わりに翌年の大規模修繕工事の施工会社の公募を掛けても、施工会社が集まらないケースも見受けられます。工事を行いたい管理組合の積み残しというような状況です。

そのような積み残しに合わないためには、どんなに遅くとも見積を依頼する前年の秋までに建物調査を終え、翌年の春に公募を掛け、夏の終わりまでに見積を依頼せねばなりません。

もしも、2027年に工事を予定しているなら、次のようなスケジュールになるかと思います。

2026年春に施工会社の公募を掛け、見積を依頼する。

そのためには、2025年の秋には、設計事務所が調査診断を終える必要があります。

そうすれば、2025年冬から2026年の春までに設計事務所がに修繕設計を進められます。

2025年の秋の調査は11月上旬が限度で、10月には設計事務所との契約を行う必要があります。

9月末までに組合で総会を開き設計事務所と契約する準備を整える。

総会の準備のために8月末には設計事務所の選定を終える。

このようなスケジュールとなります。

せっかく夏の終わりに設計事務所を選定しても11月末の定期総会まで待って設計事務所との契約を決め12月に調査診断をお願いしたいという管理組合がたまにあります。

札幌はその年の降雪が早ければ、12月になると、屋上・外構・バルコニーが積雪で調査できなくなります。

そのため、遅くとも11月上旬までに調建物査を行う必要があります。

設計事務所の調査員は12月の真冬の低温の吹雪の中でも調査ができると考えているなら、それはちょっと問題がありますが・・・

裏ワザとして、年内、年初に設計事務所と契約をして、設計を先行し春4月に調査を行い早々に公募を行う方法もあります。

ただし、2026年初頭に設計事務所と契約をしないと、この方法は使えません。

契約はできないが、仕事は進めてほしいというのは・・・無理です。

年3回やって来るスケジュールの難所

長年マンション大規模修繕に携わっておりますと、年に3回訪れるスケジュール上の難所をどのように乗り切るかが心配ごとになっています。

そのスケジュール上の難所とは、連休が続く年末年始、お盆、そしてゴールデンウイークです。

この期間はほほすべての国民にとっては大型連休ですので、ここに打合せを入れると非常識と非難されかねませんので、管理組合との打ち合わせは出来なくなります。

連休のどこがスケジュールの難所かと言えば、打合せができない連休期間の反動として、その前後の週に打合せが集中してしまう為です。

そのため、通常週に2回程度の管理組合との打ち合わせが連休の前後の週は、ほぼ毎日の様に行われます。

今年も今週から来週末にかけて管理組合との打合せが、毎日の様にあります。

土曜日の管理組合との打ち合わせは、ダブルヘッダーも珍しくありません。

これは施工会社が働き方改革で、土曜日はまだしも日曜日の打合せが事実上不可能に近くなっていることも影響しています。(工事期間中の平日に日曜日出勤の代休は取れなくなっているため)

午前中、午後、夕方と恐怖の打合せのトリプルヘッダーとなる年もあります。

5年の歳月は長い

去年、社内の体制が変わりアフター点検が出来なかった施工会社もありましたが、なぜか連休前後の忙しい時期に竣工後のアフター検査が集中しております。

1年、3年、5年とアフター検査をおこなっておりますが、組合の理事・修繕委員、管理会社の担当者管理員の交代は当たり前にあり、施工会社の現場監督の交代(退職、転職)も多く竣工当時の事情を知るのが、設計事務所の担当者だけという物件もあります。

特に現場監督がいないと何が困るかと言えば、問題が発生している場所が今回の工事範囲だったのか、工事には含まれなかったのか施工会社側で判断がつかないということです。

工事範囲で保証内容の範囲であれば、不良個所は無償で直すことになります。

しかしながら、いくら問題が発生している部分であっても、工事範囲に含まれていないものを無償で直す施工会社はいません。あくまでも不良工事をアフター点検で直すのであって新たに発生した不良個所まで直すことはないのです。

現場監督がいないと、工事監理を行った設計事務所に工事範囲かどうか確認されますが、竣工後5年経つと、こちらの記憶も薄れています。

又、施工会社が工事の際にサービスで無償で直してくれた箇所に不具合が生じた場合も管理組合や管理会社は工事でやったと主張されることが多いケースです。

この様な無償工事部分の不具合も施工会社として無償対応が難しい部分ですが、組合としては無償で直してほしい希望が強い部分です。

他の部分の補修のついでに同じ工種の職人さんが補修する事はできても、新たに材料を調達したり,別の工種の職人さんを手配する様な工事は無償で出来ないと考えてください。

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そもそも首都圏のコンサル選定が・・・

私は現在札幌で働いておりますが、前職で8年ほど首都圏でマンション大規模修繕工事の設計監理を行っておりました。

その前は札幌で同じ仕事をしていました。札幌から首都圏に進出しました。

首都圏で一番驚いたのは、マンション大規模修繕工事の建物調査診断費、設計監理費の安さです。

そのため、なかなか受注ができませんでした。

ある時に、2棟350戸のマンションの調査診断・設計監理の新聞公募がありました。

札幌でいえば、1,000万円超の費用が掛かる規模の物件です。

しかし、受注のためには、赤字ギリギリで見積を作り、営業とも相談し最終的には社長の了解を得て清水の舞台から飛び降りる覚悟で600万円の見積を出して、ヒヤリングに臨みました。

その場で組合から衝撃の質問がありました。

「なぜ、お宅だけ見積が他社の倍位高いの?」

一瞬、何を言っているかわからず、「そんなに私たちの見積が安いですか?」と聞いてしまいました。

「いや、ほかの会社は300万〜400万だよ」とさらに驚きの言葉・・・・

私は「私たちもギリギリの見積で出しています。そんな金額では、ちゃんとした仕事はできないです」と答えました。

後日、なぜか管理組合から業務依頼の連絡が来ました。

契約前の打合せで、選定の理由を聞いたところ、「プレゼンの内容が一番よかった。費用は前回の大規模修繕工事の設計監理と変わらない。他社の見積は前回の半値で、これは何か裏があると感じたので、お宅を選んだ」とのことでした。

それでも、最高値への会社への発注に反対する修繕委員がいて「他社の見積に少しでも近づけてほしい」との要望がありましたが、委員長はきっぱりとその場で「変に値引いてもらって手を抜かれても困るから、組合として値引き要望はしません」で無事契約となりました。

現在はわかりませんが、その当時は「コンサル費用は安ければ、安いほど良い」と考える管理組合も少なくなかった様です。

安いコンサル費用で選ばれたコンサルが、「足りないと思われるコンサル費用を何で埋めるか」を想像すると、ちょっと怖いです。

金額のみを判断の基準とする管理組合にも原因の一端はあるのかと思いました。

公募条件を厳しくする

先日の報道で大規模修繕工事のコンサルにも聞き取りが入ったということが伝えられました。

コンサルが談合に関して何かしらの協力を行ったということではないか?と思われたのでしょう。

前回お話しした様に談合の目的が、新規参入の同業者の排除であれば、老舗の地元施工会社は公募に参加できるが、新規参入業者は参加できないような見積応募条件を作ったのではないかと推測されます。

これは当然、公正取引委員会にそのような告発があれば、見過ごせすことは出来ない事案だと思います。

コンサルが協力した「老舗が参加できて新規参入業者が参加できない条件」を推測すると

会社設立20年以上(新しく設立した会社は参加できなくなります)

工事の元請実績を必要以上に多くする。100戸以上等の条件も付ける。(元請実績が少ない新規参入業者は参加できなくなります)

又、実績も同一県内に限る等の他の地域からの参入を防ぐような但し書きをつける。(首都圏実績が少ない他の地域からの新規参入業者は参加できなくなります)

資本金、受注高を多くする。(資本金、受注高の少ない新規参入業者は参加できなくなります)

このように地元の老舗施工会社以外が見積に参加できない様にコンサルが協力して公募条件を厳しくしたことが想像できます。
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