マンション大規模修繕日記

マンション大規模修繕業務に係わる日記です。

2010年03月

電気といえば

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私たちが電気といえば照明器具を指すことが多いですね。

長期修繕計画書の標準様式では、築15年目で共用部の照明器具の取替えを計上するようになっています。

築15年というのは、照明器具の耐用年数が15年のためです。

しかし、現実問題として、15年目で照明器具は故障するかと言えば、マンションの中にある照明器具を全面的に交換するケースは余り聞きません。

現実には、20年、30年経っても壊れていないケースがほとんどだと思います。

そこで、壊れたものから修繕費で補修することにし、長期修繕計画書から外すことを考えル組合も少なくありません。

ただし、非常照明だけは、定期報告等で頻繁にチェックを行い、蓄電池等の機能に支障が出た際は、直ちに交換してください。

非常照明とは、災害が起きて停電したときも点灯し、夜間でも安全に皆さんを屋外まで導いてくれる照明です。

停電しても、最低でも30分間は点灯しなくてはならないため、写真のように点検用のヒモと照明器具に内蔵されたバッテリーにパイロットランプがついています。

このランプが、赤くなったら、ヒモを引っ張って点灯しても、バッテリーに問題があることを知らせます。直ちに交換してください。

外部照明に関しては、絶縁不良から交換が必要になるケースがたまにあります。

電気の大規模修繕

長期修繕計画書を作る上で、馴染みが薄く、イメージし難い項目であり、マンション大規模修繕の中で我々が最も出会う機会が少ないのが電気設備の大規模修繕です。

マンション内の電気設備に何があるか?と言えば・・・

共用部の照明が真っ先に上がります。

そのほかに、幹線と呼ばれる電気配線、配電盤、分電盤、自動火災報知設備、電話設備があります。

変電設備も電気設備です。

エレベーターも電気設備に入ります。

テレビ、インターフォンも電気設備に入ります。

設計事務所が電気の大規模修繕に出会う機会が少ないのは、消防設備やエレベーターに関しては各々点検が行われているため、問題があれば、順次直していくからです。

電気設備についてお話してゆきます。

応急修繕の結果

応急修繕をおこなってしまった結果、組合員は過剰な修繕費用を負担することになりました。

しかし、これを決定した理事会を一方的に責めることはできません。

理事会は、漏水対策を優先したため工事を実施しました。

では、管理会社に問題があるのでしょうか?

管理会社の理事会の要望に答えるために、応急修繕をおこなったのです。

ただし、修繕工事の範囲、修繕工事の方法、修繕工事をおこなったときの影響に関してはもう少し慎重になっても良かったと感じております。

もしも、私が相談を受けたのなら、漏水箇所だけの修繕に留め、修繕方法も大規模修繕で2度手間にならないような方法とします。

もっとも、これは後知恵ですから、その場は冷静な判断が出来なかったかもしれません。

大切なことは、修繕積立金が一見潤沢にあるように見えても、応急修繕に関する出費はできるだけ最小限にとどめることです。

転ばぬ先の杖は必要ですが、その杖が余りに重くては、杖の役目を果たす以前に負担が増えるだけです。


結局は2度手間に

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写真は、Uカットシールの跡を補修しようとシーリングを撤去した写真です。

本来10ミリのUカットの深さがないと、Uカットシールのあとが目立たない施工は出来ませんが、応急処置のUカットの深さは5〜8ミリのものも多く、現場で再度Uカットをしました。

結果として二度手間です。

この費用は、結果として全て管理組合が負担することになります。

全くUカットをする必要がないひび割れまで、Uカットして、更に補修費用まで掛かってしまう・・・

後から考えると、無駄な出費です。

ひび割れの巾別の修繕費用(1メートルあたりの費用ですが)

0.3ミリ以上1ミリ未満のひび割れの補修費用は、エポキシ樹脂低圧注入工法で3.500円前後、機械注入工法で2.000円前後、繊維でのカバー工法で1.000円前後です。

0.2ミリ未満はエポキシ樹脂注入工法で補修すると700円前後でしょうか?

それに対してUカットシール工法は、2.000円

Uカットシール工法は、ひび割れ周囲の塗装の肌あわせ補修も必要になります。

応急処置で2.000円+再度補修で2.000円+周囲の補修1.000円
合計5.000円ほどコストが掛かってしまいました。

応急の修繕の問題点

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写真は、昨日のマンションの屋上にある機械室の外壁に応急修繕跡です。

大変目立ちますね。

問題は修繕の方法です。

Uカットシール方法という工法で直しています。

この方法は、外壁のひび割れに沿って、ディスクサンダーという機械でひび割れにそってコンクリートを巾1cm、深さ1cm削り取り、できた溝にシーリングという防水材を流し込んで、ひび割れを防ぐ工法です。

マンション大規模修繕工事では、一般的な修繕方法です。

ただし、ひび割れの巾が、1ミリ以上という大きなひび割れに適した修繕方法です。

写真の機械室の外壁にできたひび割れの中で、1ミリ以上のひび割れかと言えば、多分ほとんどひび割れは0.3ミリ未満だと思います。

1ミリ未満、0.3ミリ未満でひび割れの補修方法は変わってきます。

マンション全体で1ミリ以上のひび割れが占める割合は5%未満です。

機械室のひび割れの95%は、もっと細いひび割れです。

Uカットシール補修をした周囲はひび割れのほかにも、ひび割れ周囲塗装の補修も必要となります。

実は、Uカットシール工法は、非常にお金の掛かる修繕方法です。

大は小を兼ねるわけではありませんので、大きなひび割れの修繕方法を採用するとそれなりのお金が掛かります。



応急の修繕は必要か?

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以前設計監理を行ったマンションの簡易調査を行ったときにひび割れのあまりの多さに目を疑いました。

何せ11階にあるひび割れが見えるのですから。

でも、よく見ると、ひび割れの補修跡です。

まだ、築11年目ですから、なんであんなところにひび割れの補修跡があるのか?と疑問でした。

組合の方に理由をお聞きした所

「建物の外壁にひび割れが目立ち、水漏れを起こす住戸が出てきたので、管理会社に相談した所、応急処置をしましょうと言うことになり、何年か前に工事を行いました。」と言う答えが返ってきました。

水漏れは仕方がありませんが、建物一面の補修跡、果たして必要な工事だったのか?

屋上防水の補修を含め、工事費は500万くらい掛かったそうです。

築8年目くらいに90戸のマンションで積立金が7.000万あれば、500万円の応急処置をやってしまう気持ちも良くわかります。

でも、500万円がこのマンションの半年分の積立金と考えると、ちょっと高い出費だったかも知れません。

その理由はまた明日お話します。

修繕積立金の自動値上げに注意

以前長期修繕計画書の見直しを行った管理組合の修繕積立金の額を見て驚きました。

積立金の額が10年ごとに値上がりしています。

10,000円⇒15,000円(10年後)⇒20,000円(20年後)

見直しをしたときは値上げ予定の時から2年経っていましたが、理事会から議案として総会に諮られることもなく、時間だけが経過していました。

値上げを行わないと長期修繕計画が成り立たないことになっていました。

出来るだけ、早く値上げをしたいのですが、その根拠が無いために、長期修繕計画書の見直しをする事になったのです。

計算を行うと、幸いなことに工事費が過剰に計上されていたことと、長期修繕計画書に盛り込まれた過剰な工事を組合が実施していなかったため、修繕積立金が十分に残っており、現状の月額1万円でも、破綻しない計算となりました。

皆様も長期修繕計画書をよく確認してください。

知らないうちに積立金が自動的に値上げする前提となっていないかをチェックしてください。

積立金の値上げのタイミング

実は、積立金が充分に確保できている管理組合は、入居後すぐに修繕積み立て金額の改定を行っているケースがほとんどです。

例えば、月3、000円を一気に月10、000円以上に値上げしています。

もしも、当初から月10、000円以上の積立金があれば、50戸のマンションの場合12年目での積立金は7、200万円溜まる計算になります。

もしも、大規模修繕の工事に4、400万円掛かったとしても、修繕積立金の残高は2、800万残ります。

築24年目に2回目の大規模修繕を終えたときにも、残高はまだ5、600万円あります。

これだけあれば、共用部と専有部の給水設備の大規模修繕を行うことが出来ます。

実際は駐車場からの収入と管理費の繰越収入があるため、修繕積立金の残高にはもう少し余裕が出てきます。

当初の月3、000円のままですと、12年目で2、160万円しか溜まらず、工事費が不足し月6、000円に値上げしたとしても12年目で4、320万円となり工事費をぎりぎり出せることになります。これでは、給水設備工事の資金を準備することが出来ません。

入居すぐの修繕積立金の見直しを行う理由は

入居者の多くがこれから始まる新しい生活に対して関心が高く、マンションを守ることに対して、いちばん積極的であること。

賃貸用で購入した人よりも自分で住むことが目的で購入された方が圧倒的に多いので、組合員の意思が統一しやすいことがあげられます。

築10年を過ぎると、賃貸住戸の割合が少しづつ増加しますので、修繕積立金の値上げに対して否定的な意見が多くなります。

また、それまでの低額な積立金が生活の基準となっていますので、積立金の値上げ額が大きな負担と感じることもあります。

そのため、修繕積立金の値上げを行うためには、非常に大きな労力が必要になります。

入居後出来るだけ早く、長期修繕計画の内容を確認して適切な修繕積立金の額を算出し、見直しを行うことが重要となります。

毎月の修繕積立金が10、000円に満たない組合の方は、お手元にある長期修繕計画書のなかの給水設備、排水設備の工事費に専有部は含まれているのか?築25年を超えたときに修繕積立金残高はどうなっているのかをご確認してください。


台風が来る前に

昨日は、日本全国台風並みの嵐に見舞われ、仮設足場が壊れた様子がニュースで放映されていました。

突風が吹くと、足場の周りに貼られた、養生シートが帆の役目をして、仮設足場を引き倒してしまいます。

大規模修繕の工事のときも仮設足場があなたのマンションの廻りに立ちます。

突風で養生シートに煽られ、仮設足場が壊れることが無いように、台風が来る前は養生シートを畳みます。

更に、仮設足場だけではなく、仮設事務所やフェンスも強風によって転等しないように、木材やロープを使って補強します。

それ以上に怖いのが、屋上の改修資材の飛散です。

材料の落下によって人的被害、物損事故は絶対起こしてはならないことです。

工事のタイミングによりますが、屋上防水の材料が屋上に上がっていることがあります。

台風が接近すると各現場担当者は、現場監督と共に自分の現場の屋上に上がり、飛散する可能性があるものがないか?を直接チェックします。

材料が残っている場合は、飛散しないように屋上に固定したり、搭屋の中に入れたり
します。

万全の対策を取っても、施工会社によっては心配で現場に監督が張り付くこともあります。

春がすぐそこに

春がすぐそこに来ているはずですが、札幌では一進一退です。

3月の初めに気温が上がり、すっかり春めいていましたが、ここに来て足踏みです。

そろそろ大規模修繕工事が始まります。

先週が工事説明会のピークでした。

この連休中は人が集まらないので、説明会の実施を避けた組合がほとんどです。

組合員の関心はどのように工事を行うか?ということです。

自分の生活にどんな影響があるのか?

工事説明会は施工会社が主催して、居住者に工事の影響について説明します。

どの現場も具体的な手順は「施工要領書」と呼ばれる書類を施工会社が作成して、監理事務所がチェックをしています。

理事会の前でリハーサルも行います。

今日から春の嵐が来ます。

仮設足場の組み立てが始まると、社内は天気予報に敏感になります。

仮設足場の組み立て、解体時は一番注意が必要な時期です。

強風が予想されるときは会社の朝礼でも、各現場に注意を促し、対策を行うように申し送りが出ます。








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