マンション大規模修繕日記

マンション大規模修繕業務に係わる日記です。

2011年04月

映画を見ました。その1

英国王のスピーチ

第二次大戦直前の英国で「王冠を賭けた恋」と言われたエドワード8世の弟でエリザベス2世女王の父であるジョージ6世の物語です。

吃音(どもり)の持病があり、人前で話すことが大の苦手です。

当時は、ラジオ全盛で国王が国民とのつながりを持つために、クリスマスや国家の重要時にラジオ放送を通じで、呼びかけを行っていました。

王族も英国連邦の代表としてことあるごとに(万国博覧会の閉幕等)ラジオスピーチを行うことが、勤めとなっていました。

人前で話すことが苦手・・・

でも、時代の要求として、苦手では済まされない。

王族として不適格な烙印を押されてもおかしくないくらいの欠点でした。

そこで、妻が探してきたひとりの言語治療士とともにスピーチの訓練をします。

その経緯がこの映画のテーマです。

でも、本来は兄のエドワード8世が王位を継ぎ、ジョージ6世は大きな責任を負わず、王族の裏方として生きる運命の人でした。

それにしても、エドワード8世は無責任な国王です。

失礼かもしれませんが、もう、笑っちゃいます。

第二次大戦直前の1936年末に退位ですから、ヨーロッパはナチスドイツを筆頭とするファシズムの台頭の時期ですね。

こんな、緊迫した時期に英国だけではなく、英国連邦の盟主が自分の勝手な都合だけで退位してしまうんですから・・・

吃音はあっても、弟のジョージ6世は実直で責任感があり、彼が国王になったことが国民にとっては良かった。

インターネットで調べると

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B86%E4%B8%96_(%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E7%8E%8B)

あたりまえですが、現在のエリザベス女王の父です。

劇中で出てきた多くの人の前で話す秘訣は「友人に話すように、語りかける」こというところには大きくうなずけました。

建物診断説明会や設計説明会、現場見学会、総会出席といったいろいろな場面で私も組合員の前で話す機会が多々あります。

私も吃音は無かったですが、決して人前で話すことが得意なわけではありません。

出来れば、話すのはほかの人に任せて裏方で過ごしたいと思っていました。

しかし、その一方で組合員の皆様に修繕の必要性や設計内容、工事内容をきちんとお伝えすることが、私を信頼してコンサルタントを任せてくれた皆様の信頼に答えることが出来る手段のひとつだと感じています。

もしも、説明内容が組合員に上手く伝わらないときがあるとしたら、その原因は、私の説明内容がわかりにくいからだと思っています。

出来るだけ、わかりやすく説明するだけではなく、友人に話すように、心をこめて話す。

これが一番大切だと改めて思いました。

一番難しいのは人の心

多くの管理組合の皆様と接してきてつくづく感じることは人の心の難しさです。

それまで、積極的に修繕委員会を引っ張ってきた修繕委員長がちょっとしたきっかけで修繕委員会をやめてしまう(修繕委員長は勇退された後)こんなことが1件ならず、何件かありました。

健康上の理由だったり、転勤だったりすることもありますが、「疲れた」という理由も少なくありません。

つまり、人間関係に疲れたということです。

同じ修繕委員、理事であっても大規模修繕やマンションに対する思い入れに大きな差があり、理事長や修繕委員長についていけなくなる委員、理事も少なくありません。

私達のようなコンサルをせっかく入れたのだから、もう少し肩の荷を降ろされてもいいのに・・・思う場面も少なくありません。

委員長「施工業者の競争を行い、実数清算にも目処が立ち、工事予算に余裕が出てきました。大規模修繕の記念に組合員の生活向上ためになる工事を何かをやろうと提案し、案を募集したけど何も出てこない。」

委員「積立金の残高が厳しく値上げが必要な状態なので、組合員の手前、不要、不急のお金は使いたくない。案は出せない」

このような、すれ違いがいつの間にか

委員長「だれも真剣にマンションのことを考えていない」

委員「委員長は横暴ではないか?」となって行きます。

我々からみると、どちらの意見も正しく間違っていないのです。

でも、両者はいつの間にか対立してしまい、どちらかが委員会、理事会をやめてしまう。

こんなときに会議の席ではいえないことでも、組合行事の中で、その打ち上げで一杯やりながら、本音で語ることは出来るはずです。

「3号棟の車椅子のおばあちゃんのためにスロープを作れないかと思っているんだよね」

「でも、あの玄関だけにスロープはつけられないよ」

こんなときにコンサルがそばにいれば

「今村さんはどう思う?」

「やっぱり、平等と公平が建前であり、区分所有者の本音です」

「置き式のスロープを借りる方法もありますよ。区の補助金を調べてみますか?」

と3人よれば文殊の知恵ならぬ何らかの解決策も出てくるようになります。

世代間のギャップをどのように埋めるか?

マンション大規模修繕に向けていろいろな管理組合とお付き合いさせて頂いております。

不思議なことにどこのマンションも理事会、修繕委員会の中心となる世代があります。

以前は定年以降の世代が多かったけど、今は30代から40代の若い世代も多くなってきました。というお話をしました。

不思議なもので年齢の差はあっても同世代で固まることが少なくありません。

若い理事長や修繕委員長は年が離れた理事に対して、なんとなく話しにくい、話す時に緊張するという方もいます。

逆にお年を召した理事長、修繕委員長は若い世代が苦手・・・何を話せばよいかわからない。というかたも居ます。

その一方で同世代だと気兼ねなく話せるという人間の心理的なものもあるのでしょう。

組合活動を離れても、理事や修繕委員で一緒にゴルフに行くような組合もあります。

最近、組合運営は会社の仕事よりも難しいというお話をよく耳にします。

よく、話を伺うと、会社であれば指揮命令の系統、順位ははっきりしているので物事を勧めやすいが、管理組合の場合は理事長といっても、会社の社長と違い権利的には一般の組合員と同じなわけです。

つまり理事長の命令は会社のように絶対ではありませんし、同意を得るためには常に理事、組合員への情報提供、合議が必要になってきます。

いわゆる、根回しというものですが、こうしたときに、何でも話しやすいのが同じ世代、もしくは世代が近い人同士なのか?と思います。

社会情勢も多いに関係しており世代により共通の背景となる趣味や嗜好がずいぶんと異なります。

ものの見方、考え方にも世代間によって大きな差が出ています。

でも、そこを乗り越えないと、組合はひとつにまとまりません。

「組合員のために一番よい方法を選択する」という考え方に反対する方は居ませんが、具体的な方法は各自で違ってきます。

比較的多くくの世代にわたって上手く組合運営がされている管理組合に共通していることは、イベントが多いということです。

夏祭り、もちつきはもとより、2ヶ月から3ヶ月に1度イベントが行われています。

その中で、世代を超えて話が通じる人を探し、修繕委員会にリクルートするというのもひとつの方法かもしれません。


若い世代が,がんばれば・・・

1回目の大規模修繕を準備している管理組合の中心となる世代はどの世代が多いでしょうか?

実は、30代から40代が中心といった例が増えています。

以前は、定年後の60代の組合員が多かったのですが、ここ2〜3年でめっきり理事、修繕委員の中核となる世代が若返っています。

この傾向の背景には、組合によっても違いますが、組合員の定住志向が強まっていることが関係している思います。

以前はマンションを終の棲家と考える人よりも、一戸建てへのステップと考える人が少なくないため、マンションを健全に資産価値が落ちないように維持することを考えるのは定年後の世代でした。

最近では30代から定住志向が強まって、理事会も若い世代が中心となっているような気がします。

組合員への広報や周知という面でも、パソコンやインターネットによる情報収集を考えると若い世代が実行部隊として動き、その上の世代が長老として、若い世代を後方支援することが合理的と考えているのかと思います。


あれから25年

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マンションのプレゼンテーションが終わった後に25年前、大学を卒業して初めて勤めた事務所があった雑司が谷に行ってみました。

うわさでは地下鉄の開通に伴い、昔とはずいぶん様子が変わったと聞いていましたが、現地に行ってみると・・・・

ずいぶんどころか、全く変わっていました。

見知ったお店が影も形もありません。

定食屋、中華料理店、寿司屋、ピザ屋、うどんや(食べ物やばかりです)

雑貨屋、本屋もどこに行ってしまったのか?

コンビニは閉店していました。

ちょうど、連休を前に新緑が眩しかったケヤキ並木もずいぶんと寂しくなりました。

昔、事務所があった場所には、マンションが建っていました。

鬼子母神の境内には新しく茶店が建っていました。

毎日通っていた通勤路にも大きな変化があり、老舗の店舗はことごとく新しいビルに代わっていました。

たった20年前まで同じ場所にあった風景が忽然と消えてしまったことにショックを受けました。

変わらないのは、鬼子母神へと至る門だけでした。

再開発といえば聞こえはよいですが、近隣商店街にとっては破壊でもあります。

競争力の無い店が淘汰されてしまうのは、世の流れなのかも知れませんが、寂しいものですね。

あれから33年

私の世代にとってショッキングなニュースが流れました。

22日元キャンディーズの田中好子さんがなくなりました。

私が高校1年生のゴールデンウイーク前にキャンディーズの解散コンサートが行われました。

高校に入ってまだよく知らない見知らぬ友人の家でラジカセで解散コンサートの様子を聴いたことを思い出します。

受験の時期と重なり、キャンディーズの解散のムーブメントにはあまり関心が無かったのですが、なぜかラジカセから流れる3人の歌声が思い出に深く残っています。

ほんのついこの間のことかとも感じていましたが、思い出から33年も経ち22歳だったスーちゃんが55歳で癌で亡くなる。

一番ショックだったのが55歳で亡くなったことではなく、いつの間にか33年が過ぎていたことです。

新築でマンションを購入された方もいつの間にか30年が過ぎてしまう。

こんな気持ちなんでしょうか?

組合員がひとつにまとまるには何が大切か

先日の大阪太郎さんの他にもいろいろな管理組合で同じような悩みを伺っています。

組合員のなかに修繕に協力する人がいない

組合員をどうやったらまとめられるのか

どの方も周知が大切だとご理解されていますが

周知の方法がわからないと悩まれています。

ちょっと私も悩んでしまい、ブログの更新が滞ってしまいました。

これまで、お付き合いさせていただいている管理組合さんのことを思い出しますと

理事会をはじめ管理組合の組織がしっかりしていて、上手く機能している

周知のための広報に携わる広報委員会が組織されている

広報委員は専任でやっている人が多い

ということに気が付きました。

また、理事会のメンバーは輪番制であっても修繕委員会は理事会OB、OGを中心とした有志で構成されていました。

つまり組合活動に積極的に参加できる人が集まっていました。

人は、命じられて行う仕事に対して積極的でなくとも、自ら必要で欲した仕事に対しては積極的に動くということをある本で読みました。

このあたりに解決のヒントがあります。

また、大規模修繕というのは、上手く行って当たり前、失敗すれば何を言われるかわからない。という側面があります。

そのため、どうしても参加に躊躇してしまう傾向があります。


大阪太郎さんの悩み

大阪太郎さんからコメントをいくつか頂いています。
本当に真剣にマンションのことを考え、悩んでいらっしゃる。

3月に震災2日目におこなったセミナーでも多くの同じようなお悩みを伺っています。

「自分ひとりでがんばっているような状況です。」

時間を掛けて仲間を増やす方法をご提案しましたが、すぐに反応はないようですね。

以下 大阪太郎さんのコメントです。

修繕委員会、立ち上げたなら私も絶対にコカすわけにはいきません。
もう毎日が不安で仕方ありません。

そうなんです25年にやるのであれば、今期中にはという所まで今来ているのです。
これを2年3年先に送ったとしてその2、3年の間に建物がどれだけ傷むとか解る、
説明の出来る方とかはいらっしゃるのでしょうか?数値でも取れば比較は出来るでしょうが・・・地震から1ヶ月経ってますが今でも今期の立ち上げはちょっと怖いです。

今回の修繕はやるのであれば先にお話した外部専門家、監理を入れるつもりですので、まだ決まってません私一人で決めれませんが日本建築構造技術者協会や大阪府建築士会に紹介してもらうしか無いとは思っています。

おっしゃる通り復興が本格化する前に何とか片付けるというのも1つの手です。
今月末に「次回の修繕は25年」と最初に決めた張本人の方とお会いしますので、一度その方とお話してからまた考えたいと思います。私も修繕委員会立ち上げにあたって前回12年の修繕を担当した組合の理事に打診といいますかお願いはして回りましたが今回も引き受けてくれそうな方は1名しかいらっしゃいませんでした。

「どないやっても、良かれ思ってどうやろうとも結局は何かしら言われるだけ・・・」と
いう事です。まぁこれは立場が違う事なので仕方はありませんが・・・
どこも同じみたいですね・

以上大阪太郎さんからのコメントです。

現場見学会を行いました。

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品川区の大規模修繕工事設計監理を行っているマンションで現場見学会を行いました。

理事長、副理事長、理事だけではなく、一般の組合員も含め5名の方にご参加いただきました。

また、大規模修繕委員会のメンバーや外部の組合の理事長さんもお見えになりました。

屋上に上がり、説明を行っているときに余震が発生し、ちょっと怖かったですがなんとか無事に終了しました。

外部から見えた理事長さんは、修繕に向けて取り組んでいるけど、理事や組合員がなかなか関心を持ってくれないことが一番の悩みとのことです。

実はこういった悩みは、この理事長さんや大阪太郎さんだけではありません。

むしろ、一番大きな悩みです。

一番確実な解決方法は

仲間を増やし

マンションの現状を知らせる

自分達のマンションは自分達にしか守れない

人任せにすると後から後悔することになりかねない。

こんなことを組合員全員に周知を行い

仲間を増やす

これを繰り返すしかありません。

時間は掛かりますし、報われないことも多いですし、陰口を叩く人も出てきます。

「管理会社に任せておけば間違いないよ」

「工事会社を紹介するから、任せれば安心」

いろいろなアドバイスをくれる人がいますが「自分達が最終的に責任を負わなくてはならないことですから、安易に考えてはいけない」とお話しなくてはならない場面もたくさん出てきます。

今回、見学会を行ったマンションも「自分のマンションは自分で守る」と言い出したのはごく少数の組合員と聞いています。

紆余曲折がいくつかあり、それでも年末に組合員同士の忘年会を行うことが出来ました。

考えてみれば、入居して15年間で初めての忘年会だったそうです。

いくつかの紆余曲折を経て、雨降って地固まるのたとえのように、それまでは個人の集まりだった組合がやっとひとつのコミュニティになれたということです。

私はそんな場面に立ち会えて、この仕事をやっていて良かったと心から思えました。

また、このブログがきっかけでその組合とお知り合いになれたので、ブログを続けて良かったとも思いました。

がんばってくださいというのは簡単です。

でも、何もしないで手をこまねいているわけではありません。

何とか大規模修繕で困っている管理組合や理事長、「自分達のマンションは自分達で守る」志をもった組合員を支援するために私も所属しているマンション大規模修繕協議会は全国で活動しています。

http://www.renovaters.net/

あなたのマンションのすぐそばの会員がご相談に乗り、支援します。

修繕委員会を今期中に立ち上げるべきか?

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大阪太郎さんのマンションは平成25年に工事の予定とのことです。

そのための修繕委員会を今期中に立ち上げるべきか?という質問ですが

ご質問のように工事予定時期の2年前から修繕委員会は作るべきです。

添付した工程表は現在進行中の物件をまとめたものです。

調査から着工まで通常約1年間掛かると考えてください。

この前に設計事務所を入れるかどうか?

どの設計事務所にお願いするかを決める

この作業があります。

さらに、大規模修繕実施の時期を見極め、組合員に知らせる

こんな作業もありますので、修繕委員会は工事の1年半前には設立してください。

ということは、修繕委員会の準備室のメンバーをそろそろ集める時期です。
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