マンション大規模修繕日記

マンション大規模修繕業務に係わる日記です。

2011年12月

2011年の終わりに

本年もこのブログを読んでいただきありがとうございました。

また、業務でお世話になった方には深く御礼申し上げます。

来年もよろしくお願いいたします。

私たちにとって波乱万丈の1年が終わろうとしています。

さきほどNHKでは大津波にすべてを流された釜石の復興についての取り組みが紹介されていました。

日本を代表する建築家のひとりである伊東豊雄さんへの密着取材です。

マスコミは復興の兆しばかりを強調していますが、現実には市街地を失った町はどのように復興していくのか?その青写真ですらできていません。

また、福島の原発によって避難を余儀なくされている地域の人はこれからどうすればよいのかまったく見えない状況です。

除染は誰が行うのか?

事故によって放出された放射能は目に見えませんし、その被害についてもはっきりとわかりません。ある意味、津波による被害より深刻な被害が続いています。

両地域への長期間の支援が大切です。

1年の終わりとともに終わることではありません。

原発事故を引き起こした電力会社だけの責任としてもいけません。

誰かの責任にしてしまうと、事件とその後に関して他人事になってしまいます。

建築コストから見た大規模修繕工事の特殊性

なぜ、大規模修繕工事の値引きに否定的なのかといえば、大規模修繕工事は新築工事に比べ工事の内容に値引きがしにくいという側面があるためです。

大規模修繕工事の工事項目は屋上防水、外壁改修、塗装工事、バルコニー工事が主な工事範囲になります。

これに、仮設工事費、共通仮設費、現場管理費が加わります。

新築のマンション工事では

土工事、コンクリート工事、型枠工事、鉄筋工事、鉄骨工事、内装工事、給排水設備工事、電気工事などが加わります。

この中で大きな比重を占めるのが、建物の骨組みにあたるコンクリート工事、鉄筋工事、鉄骨工事です。全工事費の3割程度です。

また、工事費の大小という面もあります。

100戸の新築工事は3,300坪として坪あたり50万円とすると16億5千万円

1戸あたり1,650万円の工事費です。

大規模修繕工事で100戸のマンションの工事費は高いもので1億円、安いもので8,000万円程度です。

1戸あたり80〜100万円の工事費です。

およそ20倍の工事費の差があります。

工事の種類が多く、工事費が大きいほうが、工事の方法や工夫で工事費の削減がしやすくなります。

逆を言えば、工事費が少なく、工事の種類も少ない大規模修繕工事は無理な値引きがストレートに工事の品質に響きかねないこともわかると思います。


ベニスに死す

森田芳光監督の訃報に触れ正月休みに映画を観ようと考えてネットで調べてました。

すると札幌のある映画館で「ベニスに死す」を上映することがわかり驚きました。

この作品は1971年に製作されたルキノ・ビスコンティ監督の作品のひとつです。

驚いた理由は、製作40年周年記念でニュープリントで上映するとのこと。

好きな映画のひとつで誰に聞いても傑作と言われる作品です。

私も何度か映画舘でみていますし、ビデオも持っています。

40年経っても、映画舘で上映する価値がある作品で需要が見込めるためのニュープリントだと思います。

この作品なら往年の映画ファンも来るでしょうし、ビデオでは観たことがあっても映画舘で観たことがない若い映画ファンも来るでしょうからたぶん満員でしょうね。


森田芳光

突然の訃報に驚いています。

最近の作品は観ていませんが、「家族ゲーム」「の・ようなもの」にシビレました。

「バカヤロー」シリーズもよく観ました。

でも、ともに30年前の作品なんですね。

それにしても、まだ61歳です。

あまりに若すぎる死。

他のブログを読むと「いつの間にか普通の商業映画の監督になってしまった」

こんな意見が出ています。

これから「もう一花咲いたのか」

「30代で才能が枯渇してしまったのか」

判断が難しいところです。

工事価格はその物件だけでは決まらない。

役所の工事価格が民間の工事価格に影響を与える理由ですが

役所に依存し大きな利益を出している建設会社は民間工事が多少赤字で受注することができるようになります。

工事が受注出来ないと、社員はする仕事がなく会社にとって「遊んでしまうこと」になり給与を支払うだけ赤字になるので、利益が出なくても、さらに言えば多少の赤字よりも建築工事を受注することを最優先で選択します。

民間工事しか受注していない建設会社にとっても、ライバルの値引きに対しては、値引きで応じるしか対抗手段がありません。

このような背景があったため、民間工事では「建設会社は値引きに応じやすかった」のです。

でも、これは10年前までの話です。

このころの建築業界に身を置いた人、建設会社と交渉したことがある人は「建設会社は値引き交渉に簡単に応じる」のが常識と考えます。

ところが現在この公共工事に依存するシステムは崩壊し、過去のものになってしまいました。

民間の工事金額を値引く財源として機能した「公共建築の余剰な工事費」は消えてしまいどこにもありません。

そのため、民間工事でもこれまでのように「簡単に値引きに応じることはできなく」なりました。

その工事ごと、現場ごとに確実に利益を出すことが求められます。

つまり「値引き」は「得をする」のではなく「発注金額を下げている」ことになります。

単純に「設計を守るが」「安い工事を発注している」ことになります。




「建築業界の常識」が変わった最大の理由

これは、私の体験と感覚から導き出された仮設です。

「建築業界の常識」の変化の最大原因は公共建築の在り方がまったく変ってしまった。

かつての公共建築は建設業者と発注者にとって「甘い関係」であり「共に生きるためのシステム」でした。

特に産業の無い北海道のような地域にとって。

民間と比較にならないほど高い工事費で建物を建てていました。

その原因は「天下り」「談合」と言った言葉を聴いたことがあれば、なんとなくわかると思います。

この「甘い関係」と「共に生きるためのシステム」の構造を単純に書けば

公共建築を受注している建設会社に公共団体を退職した人を天下りさせる。

つまり「再就職」させる。

公共団体はその建設会社に高い工事費で工事を発注する。

高い工事費を維持するために建設会社の間で「談合」し「工事費を安くしない」

そのために建設会社は新規参入業者を認めない。

これが「建設業界の常識」でした。

発注側である建設業者は発注する建設業者を指名する根拠として、「営業の熱心さ」を上げます。

「営業の熱心さ」は営業マンが訪問した「名刺」の数で決めます。

地方へ行くと今でも建設関連部所には名刺受があります。

天下りをした公務員は建設会社の営業部門に「名刺配り専属営業要員」として再雇用されます。

毎日工事を発注する公共団体に名刺を配りに行きます。

給与は月15万円位です。その給料だけ高い工事費になります。

これは、下級職員のケースで上級職員は建設会社の役員として再雇用されます。

私の祖父と父が建設系の公務員だったので、なんとなく実感としてわかっていることです。

この天下り公務員の人件費が工事費に全てコストオンされています。

でも、「公共建築のことで民間工事は違うよね」と思われますが

実は公共建築のあり方が民間の工事価格に大きな影響があります。

その「建設業界の常識」は過去のものです。

これまで、何度か自称「建設業界に詳しい」「建設業界を知らないわけではない」組合員・理事・修繕委員たちが主張するの「建設業界の常識」の問題点をお話してきました。

代表的なものは

どんな施工会社に頼んでも大丈夫
大規模修繕くらい自分たちでできる。設計事務所を入れるのは積立金の無駄つかい
競争見積もり合わせの見積り金額でも交渉すれば○割は下げられる。

年末、年始のお休みの前後で設計事務所選定業者選定にまつわる臨時総会が行われますので、「建設業界の常識」の問題点をいくつかお話いたします。

「建設業界の常識」の問題点と言っても、指摘される方は決して悪意があって発言されたり、自分に利益を誘導しようとして意見をぶつけてこられる訳ではありません。(中にはほんの一握り誘導したいの方はいらっしゃいます)

多くの方は組合員のためを思っての発言で、悪意が無い場合がほとんどですから、このブログを読まれた理事、修繕委員の方は、このような場面に出くわしても決して感情的に対応しないでくださいね。

それまで時間をかけて導き出した結論を多くの組合員の前で面と向かって否定されるわけですから、言われた方はたまりません。

つい、感情的に反応してしまい「そこまで言うなら、あなたも理事、修繕委員になってこれまでの議論に参加すべきだろう」と思わず反論したくなります。

それは、まったくの正論ですし間違っていません。

しかし、失礼な発言をした方はまったく「自分が知っている建築業界の常識を業界に疎い人に教えてあげる」という意識での発言ですから、あなたの正論の反論に対して「自分は悪くないのに、なぜ、俺が責められる」と過剰に反応してしまいます。

その結果、口論となりかねません。

なぜ、このようなことになるのかといえば、「建築業界の常識」がここ20年以上続く建築不況で大きく変ってしまったからです。

特にこの10年間に変化は大きく、体力のない建設会社、設計事務所はどんどん倒産してしまいました。

この10年間に起きたことは

・ 公共建築の内容どころか在り方がまったく変ってしまい、建設業界が大きく変化したことによって「価格破壊」と「負のスパイラル」が起きた

このことが最大の変化です。

修繕積立金値上げの根拠

先日、ある管理組合に修繕積立金の見直しの件でうかがいました。

長期修繕計画書を作ってみると修繕積立金が不足していることは明白なのですが

機械的に○○円値上げを行います。といった形ではなかなか組合員に賛同を得にくいという意見が出ました。

建物を改良するための工事項目が増えれば、積立金の値上げ幅が大きくなるので、どの工事を希望するかのアンケートを行うことになりました。

建物の機能を最低限維持するための工事以上の改良工事項目について、工事が必要かどうかを尋ねるアンケートでは、マンションが良くなる工事に反対する人はいないので、すべての工事項目に○がついてしまうとの指摘もありました。

そのため、△工事を行うと、□円掛かります。

この工事を行う資金を積み立てようとすれば、12年間 1戸あたり毎月△円の値上げになります。

と言った注釈を工事項目それぞれつけて、アンケートを行うことにしました。

例)エントランスホールの改良工事には約500万円掛かります。

そのためには、12年間、毎月600円の積立金値上げが必要になります。

エントランス改良工事が ( 必要 ・ 不要 )のどちらかに○をつけてください。

このようなアンケートとすると、区分所有者は希望する工事項目により、積立金の値上げ根拠がイメージしやすくなり、必要かどうか判断しやすくなります。 

写真を整理

パソコンを買い替えるたびに写真のデータを移動しています。

仕事の写真はハードディスクに移動しますが、プライベートで写したものはそのまま移動することも多いです。

でも、ほんの少し前まで、写真はフィルムを使うことが主流でした。

私が本格的にデジカメに移行したのが2002年のころだったと思います。

そのころの写真です。

DSCF0062

支笏湖に釣りに行ったときの朝焼けの写真です。

フイルムのカメラとは違った幻想的な写真が撮れていることに驚きました。

翌年の年賀状に使いました。

でも、この頃はコンパクトなデジカメでも4万円以上して、簡単に買うことができませんでした。

しかし、写真をパソコンで確実に管理でき、遠く離れた場所にもメールで送ることができたので、壊れたらすぐに買い換えていました。

F 137


こんな、支笏湖での獲物の写真を友人に送っていました。

ちなみにこの魚はヒメマスです。

一番、変ったのは仕事での写真の扱いです。

報告書や工事写真が全てデジタル化され、作業効率が劇的に上がりました。

昔の調査報告書は

ー命燭鮗茲襤現像に出す→J鷙霆颪鬟錙璽廛蹐悩遒襤ぜ命燭鯏修襤ゥラーコピーを取る

どんなに急いでも、現像時間と出来上がった写真を見ながら報告書を作り、カラーコピーを外注していました。

今では

ー命燭鮗茲襤∧鷙霆颪鬟僖愁灰鵑悩遒襤カラープリンターで出力

調査から帰ってきてすぐ作業に掛かれば、簡単な報告書はその日のうちに出来上がります。








プレゼンテーションの結果を評価する

今週はプレゼンテーションについて書いてきました。

大切なのは結果を組合員へ知らせることです。

そのためには、どのような基準で選定を行うか予め決めておくことが大切です。

と言うのは、特に施工会社選定に対して言えることですが、一番安い価格を提示した会社が一番良いプレゼンをした場合を除き一番安い価格を提示した会社と一番良いプレゼンをした会社が一致しないことがあるからです。

設計事務所の場合は、ノウハウの蓄積による合理化が可能なので、一番安い価格と一案良いプレゼンが一致することが多いのですが、業務内容を統一しないと後から思わぬところで追加業務が発生してしまいます。

しかし施工会社の場合は、品質の高い工事は人件費、材料費、工事費が掛かるため価格が高くなるという面が強いためです。

つまり、見積り金額が選定理由の全てではなく、価格も選定項目のひとつと考えることです。

このあたりの話は、色々な要素があるため、どこまでの価格が安全で安く、どこからが安いけど危険なのかの判断は難しいです。

簡単にいえば、見積りを出してくれた施工会社の平均値の単価に対してどの程度の単価が入っているかを分析していく必要があります。

設計事務所が作る工事概算書を参考にすることも出来ます。

ただし、今年発生した東日本大震災による建築工事の高騰もあるため、複数社から提出して頂いた見積りの単価を比較する方法が一番か確実です。

この作業は大規模修繕工事に手馴れた設計事務所にお願いした方が修繕委員会、理事会の負担が大きく減ります。

大規模修繕工事に手馴れたと書いた理由は新築工事しかやったことがない設計事務所ですと全ての項目の単価比較をおこなった経験がないためです。

というのも、新築工事は施工会社がゼロから建物を作るため、基本的に使用材料の量は各施工会社が算出します。

工事の方法によって、工事項目だけではなく、使う材料の量に差が出ることが一般的です。

そのため、細かな数量と項目までは比較し難いことと、工事の項目が多く全ての工事項目を比較した経験がないため、大項目(仮設工事やコンクリート工事、塗装工事といった項目)の比較しかしていません。

私も新築工事の業者選定のときは、工事の大項目の比較で止めていました。

さらに新築工事で施工会社を選ぶときには、プレゼンテーションは行いません。

その理由のひとつは、工事が行われる範囲には、工事関係者以外の立ち入りが出来ないためです。

工事関係者が居住者と同じ場所で工事を行うことは新築工事、増築工事でもほとんどありません。場所を明確に分けて工事することが一般的だからです。

新築工事は価格勝負としても工事の安全に大きな差が出ないためです。

しかし、大規模修繕工事は価格が安全対策費を含めた工事内容に反映されやすいため、詳細な単価の比較やプレゼンテーションの実施が必要になってきます。

新築工事しかやったことがない建築技術者がそこに注意して各社から出された見積を評価できるかどうか・・・

「安いから決めた」わかりやすいですが、正しい選択ではないかもしれません。

大規模修繕に関しては同じ条件で見積りを行って一番安い会社を選ぶのだから、正しいとは言いにくいです。

「高い見積り金額でも選んだ理由」を明確にして、組合員に知らせるべきです。

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