マンション大規模修繕日記

マンション大規模修繕業務に係わる日記です。

2012年09月

台風への対応

大型台風が関東地方に近づいています。

早速、大規模修繕工事が進行している各現場に連絡を取りました。

ほとんどの現場では、

養生シートを畳みます。

屋上の材料を降ろします。

降ろせない材料はロープで固定します。

そんな中である現場の所長は

「私は、現場が心配ですから、今晩は仮設事務所に一晩台風が過ぎるまで詰めます」

と答えた所長が居ました。

まだ、若い所長です。

ここまで、やる所長さんを見たことはありません。

たいしたものです。

夕焼け

台風の前の静けさなんでしょうか?

IMG_1493


ちょっと不思議な夕焼けです。

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瑕疵保険の検査2

瑕疵保険の検査は2段階の検査となっています。

まず、着工時に事前検査と言って、工事の設計図、仕様書、材料リスト、施工要領書、内訳といった工事書類の確認と工事箇所の現場確認を行います。

現場確認では、実際仮設足場や屋上に上がり現場監督が工事内容を設計どおりに的確に理解しているかのヒヤリングも行いました。

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工事終了間際、具体的には仮設足場を解体する前に本当に設計の通りに工事が行われたかどうかの検査があります。

2重の検査によって工事が適正に行われたかどうかのチェックができます。

瑕疵保険の検査員になるためには、1級建築士であり、保険会社の指定する講習を受け、検査員試験を受けて合格しないと検査員にはなれません。

けんさ


今日の検査は事前検査でした。

申請どおりの工事内容、工事箇所であることを確認し、現場監督にもヒヤリングを行い、無事終了となりました。

瑕疵保険の検査

今日は千葉・幕張のマンションの瑕疵保険の検査を行いました。

DSCF0110


といっても、私が調査診断、設計監理を担当しているマンションではなく、瑕疵保険の検査員としての検査です。

瑕疵保険というのは、大規模修繕の施工会社が加入する保険で、万が一大規模修繕工事に施工会社の工事ミスがあった場合にそれを担保する保険です。

もしも、施工会社が倒産していても施工会社のミスを保証してくれます。

保険会社はどんな工事に対しても保険を承諾するのではありません。

保険を承諾する以上、それに見合う工事が行われていることを担保できないとあまりにリスクが大きすぎます。

そのために、マンション大規模修繕の専門技術者の力を借りて保険内容に見合う工事内容の確認を行います。

DSCF0091

長期修繕計画書の説明

長期修繕計画書を組合の皆様に対してご説明するのは非常に骨が折れる仕事です。

というのも、長期修繕計画書について一体何からお話を始めればよいのか?なかなかわかりません。

どのような前提条件を基に算出したものなのか?

また、数字の羅列と字の小ささが混乱に拍車を掛けます。

そのために、長期修繕計画表には必ず、グラフをつけます。

赤い線が工事費の累計金額

青い線が修繕積立金の累計金額

赤い線が青い線の下にある分には良いのですが、赤い線を青い線が上回るようになれば、修繕積立金が不足し借り入れを起こして工事を行なわないと建物を健全に維持できなくなります。

このようなことを注釈として長期修繕計画書に書き入れれば、組合員の理解が深まります。

図2


設計説明会を開催しました。

来春、大規模修繕工事が着工される予定のマンションで設計説明会を行いました。

DSCF0062


理事、修繕委員を含めると約50名の方が参加され、工事内容の説明に対して質問が多数出て来ました。

このとき使用した説明資料は全組合員、全居住者に配布します。

こんな調査診断報告書にお金を払わないでください

ある管理組合へプレゼンテーションに伺った時のことです。

見積書に対して質問を受けました。

理事長さんから「うちのマンションは調査診断がすでに終わっているから、お宅の見積もりから調査診断費用を抜いて良いですか?」とたずねられました。

「良いですよ」と言い掛け、「報告書を確認して使える部分の費用は差し引きます。」とご返事しました。

さて、何とか受注して、調査診断報告書を拝見したのですが・・・

報告書の目次を見ると

調査概要
用語解説
打診調査
調査劣化図
タイル付着強度
塗装付着強度
コンクリート中性化
塗装付着力試験結果
シーリング物性試験
劣化写真集

一通りの報告書に体制にはなっていますが、その中身を見ると

総合評価
各部位の評価
劣化数量表
劣化予想数量表
概算工事費という項目がありません。

つまり、このマンションの劣化状況はどのくらいで
各部位ごとの劣化状況、修繕の必要性がまったくわかりません。
また、調査した部分にどのくらいの量の劣化、つまりタイルが浮いていて割れていて、建物にどのくらいのひび割れ、欠損があって、建物全体ではどれくらいの量になるのかがまったくわからないのです。

さらに言えば、この建物を修繕するのにどれくらいの費用が掛かるのかがまったくわかりません。

調査診断はこの報告書に記載されていないことを知りたいがために行います。

見せて頂いた報告書では、私たちが言う調査診断報告書からはほど遠いので、報告書の形態はとりませんが、劣化数量を知るための再調査が必要になります。ちなみにこの程度の報告書であれば、施工会社や塗装メーカーが無料で作成してくれます。どちらのメーカーにお願いされましたか?と理事長、修繕委員長にお尋ねしました。

お二人は顔を見合わせ「そんな馬鹿な。○○会社に80万円でお願いしました。」

○○は入れることができません。

工事説明会での質疑応答

先日、工事説明会を終えましたが、そのときに出た質疑、応答の中で一般的なものを掲載します。

これから、工事を迎える組合の皆様参考にしてください。

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Q1,バルコニーの荷物をどけるのは理解しましたが、物置もどけねばなりませんか?
A1.すべての荷物の移動をお願いします。物置の移動が自力で出来ない方は施工会社と打ち合わせてください。

Q2.網戸を取り外してから何日くらいで復旧してもよいのですか?
A2.網戸は工事の初めに取り外し、工事がほぼ終わるときに復旧します。

Q3.仮設足場は震度どのくらいの地震に耐えられるのか?
A3.震度6でも耐えられるように設計されています。

Q4.防犯対策はどのようなことを考えていますか?
A4.1階廻りに金網を廻し進入を防止し、建物周囲にセンサーライトを設置します。
   居住者側でも簡易窓ロックを借りて、ひとつの窓に二つの鍵を付けて自己防衛をおこなってください。

Q5.足場を掛けた後に再度劣化調査を行うそうですが、在宅は必要ですか?
A5.在宅は必要ありません。

Q6.新築時にバルコニーにオプション工事で設置した床タイルユニット、人工芝は請負施工会社で撤去復旧してくれるのか?
A6. オプションで設置したものは個人負担で撤去復旧となります。

Q7.網戸を撤去して預けたのち、復旧するときに明らかに他人の網戸が返却されること破損されて返却されることが多々あると聞く。どのような対策を採るのですか?
A7.網戸には2箇所にガムテープで部屋番号、名前、どこの窓かという情報を貼り付け、居住者立会いの上でお互いに確認して受け渡しを行います。(現状の写真も添付します)

このような質問が10以上出ました。

外壁タイルのためし焼き

3週間前に外壁タイルのためし焼きを行い組合の皆様と検討をした結果「焼き直し」となったタイルですが、「焼き直しのタイル」が出来上がってきました。

現場監督は「さきほど、既存の外壁タイルに当ててみましたが、結構合っています」と言います。

期待して理事と修繕委員の有志の方に立ち会って頂きました。

外壁に試し焼きタイルを貼ってみると・・・

タイル


うーん。まいった。

「廻りのタイルよりかなり濃いです、再度焼きなおしをお願いします。」

現場監督は意外そうでしたが、これを見た理事と修繕委員の有志の方も首をかしげています。

タイルの発注に時間が掛かるのは分かりますが、色が合っていないものは発注することはできません。

このまま発注するとタイルの貼りなおした部分の補修跡がかなり目立つことになります。

ここは決して妥協はできないところです。

こういうことがあると、この現場の工事監理は「性悪説」で行わなくてはと思ってしまいます。

このブログを読まれている工事関係者の皆様へ

大規模修繕の仕事は会社のためでも、自分のためでも、まして給料のためにやるものではないと思います。工事完了後のお客様の満足と笑顔のためにやるものと思っています。

新聞公募に応募される際には、このことを現場監督候補者の方にお話して頂き賛同して頂ける方を候補者としてください。

誠に勝手なお願いで申し訳ありませんが、根本の考え方にズレがあると、お互いにとって、とてもつらい現場になると思います。

宜しくお願いいたします。

高倉健インタヴューズ

図1


高倉健 誰もが知っている映画俳優

でも、私生活と素顔についてはほとんど知られていない。

最後の「スター俳優」

先週のNHKプロフェッショナルの流儀で少しだけ高倉健さんの素顔がみえましたがインタビュー集がつい最近出版されていました。

早速買い求めて少しずつ読んでいます。

撮影現場の休憩時間でも決して座らないという「高倉健伝説」は本当なのか?と思って読み始めましたが、読み進めるうちにそんなことはどうでもよくなりました。

このインタビューを通じて、高倉健が「高倉健」であり続けることが多くの人に「人としてどのように仕事に取り組むべきか、どのように生きるべきか」を伝えているのだと思います。

それは、高倉健の言葉によってではなく、高倉健の行動、振る舞いが高倉健と接した多くの人に感動と気付きを与えているのだと感じました。

興味のある方にはぜひお勧めしたい一冊です。

本のなかで気になる内容がありました。

高倉健さんが仕事を選ぶ基準は何だと思いますか?

脚本の中身を読んで決めるのはもちろんですが・・・

ギャラの額を大切にするそうです。どれくらい高倉健さんを必要としているかはギャラの額で分かるそうです。

また、出演するときには再使用の権利等はすべていただくとのこと。

これだけ背負っていればもう逃げ場がなくなるなり「今日は辛いから辞める」なんて絶対に言えなくなるそうです。

「ギャラは二の次」とか「儲けは度外視」とか出来ないことは決して言わない。

「ギャラが安いから」という逃げ道を断ってしまうのですね。

私も良く設計料についていろいろと悩まされます。

本音をいえば、値引きを要求する組合さんより、値引きを要求しない組合さんの方がずっと怖いです。

「私を必要としているかどうかは設計料で分かります」なんて、いつか自信を持って言ってみたい台詞です。
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