マンション大規模修繕日記

マンション大規模修繕業務に係わる日記です。

2013年08月

そりゃないよ その3

設計事務所選定のヒヤリングの場面でよくあるシーンです。

理事長「あなたの会社が一番内容が良かったです。ただし、見積金額も一番高い。」

「見積最安値の会社は○○円です。(弊社の6割程度)この金額に合わせてくれれば、内容も一番、価格も一番になるので、この場でおたくに発注してあげます。どうしますか?」と聞かれることもたまにあります。

思わす「そんな無茶な話しを受けるわけには行きません。無理です」と言いかけたところに

見かねた修繕委員長が「理事長、そりゃ無いでしょう」

いやー、実にありがたい一言です。

修繕委員長「内容が濃いということは、コストも掛かることは理解できます。どこまで、値引くことができるかお聞かせください」

ここからが難しいです。目先の受注に目が行き、大幅に値引いてしまうと利益が出ないどころか赤字になると言う心配だけではなく、最初に出した見積金額はフカシが入った金額と解釈されて、組合の皆さんの信頼を失ってしまいかねないと言うことです。

最近は「大変申し訳ございませんが1割だけ値引かせていただきます」と答えています。

それが原因で受注できなかったときに社長から「そりゃないよ」と言われるかも知れませんが、値引いて信頼をなくすのは愚の骨頂。

これまでの経験から言わせて頂ければ、思い切って値引いた物件ほど、トラブルが起きる割合が高いように思われます。

原因は見積からの大幅な値引きが最初の信頼関係に水をさしたとしか思えません。

「あいつの言うことにはフカシがたくさん入っている」

「こちらが気がつかなかったら組合の金をボッタクルつもりだった」

こんな風に思われたのかも知れません。

外壁タイルの劣化について

私自身もこの仕事を始めるまで、マンションの外壁に貼ってあるタイルが劣化して、浮くものだとはほとんど考えたことがありませんでした。

タイル=永久にメンテンスしなくても良い材料

こんな認識でした。

しかし、現実はまったく違い外壁タイルは時間の経過とともに浮きます。

以前、ある分譲会社の方とお話しして驚いたのですが、「あまりに外壁タイルの浮きが多いので補償をお願いしたい」と申し出たところ

「ところで、長期修繕計画書ではどのくらいタイルの浮きを見ていますか?作成した人の想定が甘かったのではありませんか?と逆質問されました。」

長期修繕計画書を作成した管理会社の担当者は唖然としていました。

「そんなことを言うなら、あなたは分譲販売時にすべてのお客様に対して10年後に外壁タイルが○%浮くので修繕が必要になります」と重要事項で説明しましたか?という言葉が出掛かりました。

「竣工後10年間で5%の外壁タイルが劣化します。」というBELCAのデータさえ、信じがたい劣化の数です。

一体外壁タイルのマンションに住んでいる人の何%の人が10年後に外壁タイルの5%のタイルを貼り換える、タイルの浮きを止める工事をすると了解しているのでしょうか?

金額にするとびっくりする補修費用です。

100戸のマンションの外壁タイル面積を約8,000屬箸靴燭箸に1%のタイルが80屬猫屬△燭200枚タイルですから16,000枚のタイルとなります。タイルの張替えは経費も入れて1枚約500円ですから1%の浮き補修で800万円の工事費が必要です。

この5倍なら4,000万円の工事費となります。

1戸あたり40万円の補修費用になる計算です。

タイルを外壁に接着する工法はもう少し安価なので、実際には4,000万円の工事費がかかりませんが、このような費用が掛かるとは、分譲時に想像できる人はいません。

設計事務所の仕事は「調査診断設計監理」だけではない2

では、管理組合の一番の悩みは何かと言えば、「将来に渡り現在の修繕積立金で快適な生活が本当に維持することができるかどうか分からない」ということです。

そこから「現在の長期修繕計画書」が正しいのかどうか分からない。

修繕積立金の適正額が分からない。

修繕積立金の値上げの方法が分からない。

このような組合がとても多いのが現実です。

「その当たりこのことは、管理会社に任せているから・・・」と言っても管理会社の仕事の本質は日常管理であって、大規模修繕ではないため、長期修繕計画書の見直しや修繕積立金の設定、値上げといったノウハウをすべての管理会社が持っているわけではありません。

同じ理由でマンション大規模修繕の経験が少ない設計事務所や担当者には手に負えない大きな問題です。

さらに言えば、目の前の仕事で手一杯でそのような問題があることすら認識ができていません。

この「将来に渡り現在の修繕積立金で快適な生活が本当に維持することができるかどうか」といった部分はこのブログで何回もお伝えしたように、管理会社にとっては最終的に「管理費の削減」といった「とばっちり」が来てしまう部分ですので、できれば避けて通りたい部分です。

つまり、管理組合が気付かない限り、管理会社から積極的に「長期修繕計画の見直し」を提案されることはほとんどありません。

さらにこの部分は設計事務所、担当者の経験や意識の問題も大きいため、積極的な提案、企画力のできる会社、担当者はごく少数です。

この部分が見えていないと必要性が低くても「バリヤフリーや資産価値の向上のためのバリューアップ工事」を強く薦めたり、過剰な材料を使った工事を追加したりと工事費を増やすことを目標とする担当者も少なくないのです。

規約の改正や、積立金の値上げ、大規模修繕の実施に対する総会決議の割合がまったく分からないという信じがたいマンション管理士、設計担当者もたくさんいます。

設計事務所を選ぶ際には、この部分に着目していただけると管理組合、設計事務所双方にとってハッピーな結果になると思います。

設計事務所の仕事は「調査診断設計監理」だけではない1

本屋は本を売ることだけが仕事ではないというお話を札幌のリーブルなにわという閉店した本屋さんを例に挙げてしました。

マンションだ雄規模修繕という仕事に10年以上携わってきて感じることなのですが、調査診断や設計、工事監理を行うだけが設計事務所の仕事ではありません。

施工会社や管理会社にできないことがあるからこそ、設計事務所に業務を委託する必要があります。

この部分が明確に理解されていないと業務を委託する管理組合や受注する設計事務所双方にとって不幸ですし、どのような設計事務所をパートナーにすべきかがまったく見えてこないとおもいます。

非常に生意気ない言い方で誤解を受けてしまいそうですが、そもそも設計事務所に何を頼むのかを明確に理解している管理組合はほとんどありません。

また、設計事務所自身も管理組合に対して何をすべきかが見えていない会社がほとんどだと思います。

双方とも「調査診断」「設計工事監理」という言葉に絡めとられています。

そのため、見積を徴収し、ヒヤリングを行ってもその差がつかないために最終的には価格勝負となってしまいます。

では、マンション管理士が理解しているのかと言えば、設計事務所選定にマンション管理士が入っている物件で見積項目を尋ねても、帰ってきた答えが「各社で判断してください」というとんでもない答えでした。

「管理組合の代弁者・パートナー」の立場にあるべきマンション管理士が設計事務所に発注する見積要領書を提示できないということはありえないことです。

同じ条件で見積を提出してもらうからこそ、管理組合が比較検討できるのであって、各社バラバラな業務内容では、金額においても比較検討はできません。

設計事務所が施工会社選定において、施工会社各社に各社自由に見積をしてください。と言うのと一緒です。

このような、マンション管理士はごく少数でしょうが、マンション管理士というだけで大規模修繕に詳しいわけではありません。

老舗本屋の撤退

札幌の大通りに「リーブルなにわ」という本屋さんがゴールデンウイークまでありました。

雑居ビルの地下1階、2階の小さな本屋さんですが札幌の本好きの間だけではなく、市民で知らない人がいない本屋さんでした。

地下鉄の大通り駅から直結する一番近い本屋さんなので待ち合わせに使うことも多いため私も中学生の頃から足しげく通っていました。

そのリーブルなにわが撤退した後に全国規模の本屋さんがすぐに入ったので、本屋が同じ場所にありことには大差は無いのですが、以前と同じように通う本屋さんではなくなっていました。

それはなぜか?本屋さんというのはいかに普段自分の興味のない本と出合うことができるかが楽しみな場所です。

極論を言えば、欲しい本がはっきりしているなら本屋に行く必要はなく、インターネットで本を買えばよろしい。

そうではなく、わざわざ本屋に行くのは、いろいろな本を手に取り普段自分からも遠い意外な本と出合うために本屋にいきます。

知らない作家、出版社、普段手に取ることにない本が興味のある本のすぐそばに並んでいる。

昔の「リーブルなにわ」はそんなワクワクする場所でした。

インターネットで本を売っているから売り上げ不振とか近くに図書館の出張所ができたことだけが売り上げ減の原因と報じられていますが、それだけなんでしょうか?

残念ながら、現在入っている本屋さんにはワクワク感が感じられませんでした。

つまり、本屋のあとに本屋が入ったからといっても同じではありません。

マンション大規模修繕も同じですが、マンションを新築時の姿に戻すだけなら、管理会社や施工会社にお願いすればよいのです。

管理会社や施工会社にお願いしては決して得ることができないワクワクするものがあるので、設計事務所に依頼します。

さらに言えば、調査診断設計監理費の一番安い見積もり金額をだした会社ではなく、高い会社に出すのは、それなりの価値=ワクワクするものがあるからです。

高い見積金額を出す価値=ワクワクするものがどんなところにあるのか?

それは設計事務所に説明してもらってください。

外壁タイルが浮く本当の理由3

タイルが持つ高級感と耐久性は魅力ですので、塗装よりも見栄えがして、高く販売できるためか外装はタイルのマンションがほとんどになりました。

ところが、本来ならタイルは落下の危険性が伴うため、細心の注意のもとで施工を行わねばならない仕上げ材料です。

実情はそのようになっておりません。

というのも、同じ時期、同じ戸数、同じ建物形状であっても第1回目の大規模修繕時に外壁タイルの浮きの割合は外壁面積に対して1%から13%と様々です。

平均すると約3%です。設計では調査結果がこの数字よりも少なくても設計は3%で予算取りを行うようにしています。

ところが大手建設会社の答弁書では外壁タイルは10年間で5%の浮きが順当となっています。

タイルの工事が上手く行かない最大の理由は、工事の管理が上手くできないところにあります。
12年間で1%しか浮いていない建物は工事管理がキチンとできている建物で、13%浮いている建物は工事管理が上手くできていない。

このように考えることは自然だと思います。

職人さんの事情ではなく工事の事情で急いでタイルを張ることも多々あるでしょう。

ほとんどの場合は工期(時間的)に無理がある。金額に無理がある。といったところです。

職人さんに工事現場に来てもらったら、仕事があろうとなかろうと、それだけで給与は支払わねばなりません。少々タイルを張る上でふさわしくない気象条件であっても、タイル工事を強行することになります。

こんな事情があっても、タイルは表面上きれいに貼れているように見えます。

新築時にタイル工事完了後にタイルの打診検査を行っているかどうかはわかりませんが(普通は行いますが)タイルが浮いているかどうか、見た目ではよくわからない。
怖いですね。

ところがインターネットを見ると「タイルの建物は塗装の建物に比べ耐久性が高く将来の大規模修繕も費用が掛からない」と実情を知らずに宣伝をしている人たちがいまだにたくさんいることです。

マンション大規模修繕のパイオニアである設計者の「大規模修繕のときに外壁タイルはすべてはがして塗装にすべき」という過激な意見もあります。

http://e-kensin.net/reading/226.html

写真はタイルを貼るコンクリート面の目あらしがされていないため(コンクリートの表面に凹凸をつける)コンクリート表面つけたに目印(スミといいます)が残っている様子。

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猛暑の中の現地確認

関東地方、ものすごい暑さです。

外に出るとまるでサウナに入ったような感じです。

そんな中、来春に大規模修繕工事を控えた組合の皆さんと一緒に建物の劣化状態の確認を行いました。

暑さを予想していたので、気温が上がる前の午前9時に集合して、共用廊下と階段の劣化状況を確認することにしていましたが・・・

集合時間の午前9時から暑く、おそらくすでに30度を超えていたでしょう。

朝の挨拶が「いやー、暑いですね」です。

私は8時過ぎから床面の劣化部分にマーキングを行っていたのですでに汗だくでした。

組合の皆さんと廊下、階段を確認しましたが30分で終了となりました。

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寿司原理主義

私は食べ物の中で何が好きかと聞かれると「寿司」と答えます。

おいしい寿司なら1週間3食寿司でもかまわない。

それほど寿司が大好きです。

ところが、どこそこの寿司屋がおいしいと薀蓄を語る気はまったくありません。

おいしいと聞けば、まず行ってみます。(お金と時間が許せば)

つまり、ちょっとだけ「寿司原理主義」です。

「寿司原理主義」とは店に求めるものではなく、我々お客が自分に求めるものです。

おいしい寿司は世の中の人を分け隔てなく平等に幸せにします。

「寿司は裏切らない」が基本です。

おいしい寿司屋は、社会の共有財産で公共財産です。

お寿司屋さんが、気持ちよく仕事できるように努めるのが私たち客の義務です。

「お客様は神様です」これは店側の言葉であり、客が店に求める言葉ではありません。

私が自分に課しているすし屋でのルール

1.お寿司がつけ台に出たら3秒以内に食べる。

2.通ぶって刺身を頼ます、握りから注文、握りで締める。

3.タバコを吸う人とは一緒に行かない。

4.納豆巻きを頼まない、頼む人と一緒に行かない。

5.赤身は頼むが、中トロ、大トロは頼まない。

6.酒を飲み過ぎない。

7.薀蓄を語らない。

8.寿司屋は居酒屋ではない。食べたらすぐに席を立ち会計。

9.予約を入れてから訪問する。

10.職人さんには敬意を持って接する。無理を言わない。

外壁タイルが浮く本当の理由2

つまり、コンクリートの建物にタイルを浮かずに貼るためには、タイルを張る職人さんの力量に頼る部分、工事を管理する現場監督さんに頼る部分が多いのです。

コンクリートにモルタルを塗る技術と知識、モルタルにタイルを貼る技術と知識いう要素があります。

モルタルをコンクリートに塗るときには、コンクリートの表面が平滑であったり乾いていてはいけません。

下地が乾燥しているとコンクリートに水分をとられて水和反応が阻害され、硬化不良や接着不良を起こしやすくなります。

このことをドライアウト現象ともいいますが、下地の吸水だけでなく、塗りつけた後に直射日光や強風によってもドライアウトは起こります。

塗りつけ後のドライアウトはシート養成や散水によってこれを防ぐことができます。セメントモルタルを塗る前には水湿しを行うか、吸水調整剤を塗布します。

つまり、新築時の外壁タイル工事は現場監督も職人さんも気をつけて工事を行わないと不良工事になりやすい部分です。

ちなみにタイルの工事費はどれくらいだと思いますか?

1平米のタイルを貼って材料と工事費を合わせて1平米あたり6,000円〜8,000程度です。

職人さんの給与が出来高で支払われるとしたら、1平米でも多く貼りたくなるのが人情です。



外壁タイルが浮く本当の理由

昨日お伝えしたような理由で外壁タイルが浮くのであれば、同じマンションの同じ面は一様に同じ時期に外壁タイルが浮かないとおかしいような気がします。

実際のタイルの浮きの調査結果は写真の青い部分のように偏って出てきます。

ここで、注目したいのは浮き(青)が集中している部分と浮きがない部分(白)が階数によって偏在していることです。

なぜ、階によって外壁タイルの浮きが偏在するか?

外壁タイルはどのように貼ると思いますか?

機械ではっていくのでしょうか?

実はいまだにタイルは職人さんがコンクリート面をモルタルで均してその上にタイルを貼っていきます。

コンクリートもモルタルも固まるには水和反応という化学反応によって固まります。

水和という字があるのでわかると思いますが、水がないと上手く固まりません。

また、コンクリートの表面はツルツルだとモルタルは固まっても上手く、接着しないのです。

実は、ここに大きな外壁タイルの浮きの原因があります。

uki
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