マンション大規模修繕日記

マンション大規模修繕業務に係わる日記です。

2015年09月

修繕積立金が貯まっていない・・・

このような管理組合さんに対するアピールなのか、先日、仮設足場を建物の廻りに建てないで、安く工事を行う施工会社がマスコミに取り上げられていました。

仮設足場を使わずに、窓清掃に使う高所作業用のブランコで大規模修繕工事を行うようです。

私たちも、調査や部分的な補修工事で高所作業用のブランコを使うことがありますが、大規模修繕では、つかいません。

足元がしっかりとしない場所では、腰が引けた工事になってしまい、工事の品質に疑問があるからです。

もしも、この方法でまったく問題がないのでしたら、日本中の大規模修繕工事は、短期間でこの方法へと一気に変わるはずです。

かつて、カメラはフィルムカメラから一気にデジタルカメラに取って変わられ、携帯電話も一気にスマートフォンへと変わりました。

ワープロ専用機はパソコンにあっという間に変わりました。

時代を遡れば、馬車は列車、車に変わり、レコードはCDに音楽配信へと変わりました。

合理的なものは、瞬く間に普及し、性能は上がり、コストも下がります。

このように考えると、この工法が普及しないのは、どこかに問題があるのだと考えるのが一般的だと思います。

我々、工事の品質を検査する立場からすると、まず、ブランコで工事を行っている人以外は、工事の品質検査ができないことが問題です。

「修繕積立金が貯まっていない」から「安く工事を行う会社を選ぶ」というのは、根本的な部分でボタンを掛け違っていると思います。

本来、大規模修繕工事はどうあるべきか?という視点が抜け落ちているような気がします。

組合員全員が「その場しのぎの対処でかまわない」と思っているのなら、仕方がないですが、少なくない組合員は、「適正な価格でちゃんとした長持ちする工事をしたい」「次回からは資金不足にならないように準備をしたい」と考えていると思います。

修繕積立金が貯まっていないからと言って

大規模修繕が必要な劣化状況になっても、必要な修繕積立金が貯まっていないというマンションが最近増えています。

その原因は

急激な工事費の上昇があった

修繕積立金の設定が分譲時の低すぎるまま放置されてきた

長期修繕計画書の見直しが行われず、工事費の設定が低いまま

この3つの原因のどれかもしくは複合と考えられます。

ここで、組合としては、どうすれば良いのか?

各部位の劣化状況に合わせて、工事範囲を絞るという方法があります。

その他に、修繕積立金に見合う、工事費の安い会社を探すという方法もありますが、これはあまりお勧めできません。

工事と品質の関係をまとめると

高いものに理由はないが、安いものには理由ある。

工事費の範囲内の工事しかできない。

といった関係が成り立ちます。

修繕工事は、工場生産品のように、旧モデルのため、在庫一掃のため、安売りすることはありえません。

また、継続して仕事の受注が見込めないため、赤字覚悟の工事というのは、受注しないと倒産するといったよっぽどのことがない限り、ありえません。

受注した金額の中で、充分な利益を取り、残りの中で工事を行っているのが、実情です。

これは、どの業界でも、当たり前に行われており、十分な利益がないと会社は存続できません。

施工会社に対して「あいつら、儲けていやがる」という苦言を呈する方がいますが、企業である以上、儲けるのは当たり前です。

むしろ、管理組合から「私たちの組合は積立金が少ないので、何とかなりませんか?」と施工会社に相談し「わかりました。今回は皆様の熱意に免じて、儲けなしで頑張ります」と言い、見積金額から10%以上、即座に値引ける方がおかしいと考えます。

その分工事の品質は下がると考える方が自然です。

施工会社の見積金額から、1割以上の金額を示して、この金額なら、即座に御社に発注しますが、どうしますか?と施工会社に迫る組合もあります。

施工会社の営業マンは、「わかりました。請けさせて頂きます。」と言うケースも少なくありません。

このような組合は自分で、工事の品質を下げているのでは、ないかと思います。

施工会社の意見も聞き、根拠を示して、双方、納得できる金額で合意しない限り、減額交渉は「安物買いの銭失い」となるリスクがあり、本来とても難しいものです。

32年ぶりにつくばセンタービルへ

現在、つくば市でマンション大規模修繕の仕事をしています。

今月から、いよいよ着工です。
工事説明会が終わり、やっと一息付けたところです。

つくばでの仕事が決まったときに、つくばセンタービルを訪ねようと思っていましたが、なかなか時間が無く、やっと訪ねることができました。

実は32年前大学の関東での建物見学実習終了後、クラスメートと離れたった一人でつくばセンタービルを見に行きました。友人を誘っても、誰も付き合ってくれませんでした。

なぜなら、当時は土浦駅からバスに乗ってつくばセンタービルへ行くしか交通手段がなく、もう1日、余分に滞在することになるからです。

私は、叔母の家に泊めてもらいましたが、皆、貧乏な学生ばかりでしたので、見学会終了後、飛行機ではなく、急行八甲田で帰って行ききました。

バスに揺られ、現地に着くと、建物の周囲は空き地で、造成の赤土があちらこちらに広がっていて、がらんとした空き地の真ん中に、磯崎新の最新作であるポストモダン様式の建物が建っていることに大きな違和感がありました。とにかく、人がいなかったように記憶しています。

32年ぶりにつくばセンタービルを訪れ感じたのは、又も周囲との違和感でした。駅に近く、建物周囲には多くの人が、歩いているのですが、この建物群を象徴する、ある意味一番の見せ場である、周囲から掘り下げられた噴水のある広場には、土曜日の午後3時半と時間帯が悪かったのか人が誰もいません。ホテル、レストラン街、ホール、公共施設から構成される複合施設ですが、レストラン街は準備中でホールには催事は無く、公共施設は休日でクローズしているのが理由なのかもしれません。

誰もいない、広場から想像されるのは、新築当時に話題となった廃墟となったこの建物のドローイングのイメージです。

現在はつくばエクスプレスのつくば駅前の商業施設にすっかり埋もれてしまい、建物がランドマークとしては目立たなくなっていました。

建物は、経年劣化のため、ひび割れの補修跡や汚れもあり、金属パネルのあちらこちらにさびが浮き出ています。

建物の一部に当初は計画されていなかったであろう、駐輪場が造られていたり、過ぎた年月に感慨深いものがありました。

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