マンション大規模修繕日記

マンション大規模修繕業務に係わる日記です。

2015年10月

ところで、うちのマンションは安全か?

最近、マンションの組合を訪問するといろいろな組合から尋ねられます、

同業者や施工会社の技術職、営業職も同じような質問攻めに合っているようです。

正直、杭のように目視することが、できない部分に起因する問題については、正確な回答というのは、とても難しく、お答えしにくい部分です。

もしも、構造的な問題があれば、外壁に多数のひび割れが出てくる場合があります。

ただし、コンクリートは中に含まれる水分が化学反応を起こして、固まりますので、その途中で、どうしても体積が減り、収縮していきます。

収縮が原因でコンクリートにひび割れが発生することがありますので、ひび割れが多いからといって一概に構造的な問題があるとは言えません。

最近のマスコミの報道も、傾いたマンションで杭工事を行った会社が手がけた建物がどこにあるか、その担当者がどの場所の建物を担当したかといったちょっとピントがずれた報道が多く、結果として、国民の不安を煽る報道になっていると感じます。

このような報道が過熱すればするほど、「怖くてマンションに住めない」という感想も出てきます。

杭による沈下が発生しても、建物の倒壊には至りません。もしも、杭に問題があれば、完成後早い段階でひび割れ等の現象が出てきます。

根拠がなく、不安を掻き立てるような報道は「自粛」してもらいたいと感じています。

札幌は雪景色

週末、札幌に帰りました。

母が最後の紅葉を見たいというので、市内の公園へ行ったところ

雪が降ってきましたので、ホテルでランチを食べました。

ランチを終えて外に出ると一面の銀世界

池のカモも突然の雪で凍えています。

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大先輩の見解

マンション大規模修繕を手がける設計事務所を経営されている大先輩から今回の杭事件について伺いました。

大先輩曰く、問題の本質は、

検査システムの不備

設計監理と工事の分業が確立していないこと

この2点が解決しない限り、このような事件は起こるべくして起きてしまったということです。

杭の深さ不足やセメント量の不足は工事が終わるたびに、検査をしていれば、未然に防ぐことができた問題です。

また、工事を行う人ではなく、建物を設計し、工事を発注する側に立つ、設計士が工事の検査を行っていれば、発注者に不利になるような工事にはなりません。

「そのようなことをすれば、技術者不足になって、工事が進まない」という建設業界からの声を聞きすぎたために、今回のような事件はこれまで多く発生してきました。

これから、このような問題を防ごうとするなら、主要工事において検査を義務化し設計と施工の兼業を行わないようにすることが、必要になってきます。

建築、不動産業界だけではなく、管理組合もパニック状態。

横浜の杭傾斜問題が大きくクローズアップされています。

私の周りでも、皆さん対応に苦慮されています。

不動産会社、管理会社にも、毎日販売、仲介した物件、管理物件のオーナーさんから問い合わせが、多数あり、仕事にならないようです。

特に総会が近い、管理組合の場合、理事会がどのように説明すればよいのか、悩まれています。

こんな質問が想定されます。

Q.このマンションの杭は大丈夫か? 

A.現在、建設会社に杭の施工会社名の調査を依頼しています。

Q.このマンションは傾いていないのか?建設会社に調査してもらって欲しい。

A 傾いている証拠がないと、建設会社は取り合ってくれません。測量会社に傾きの測定を依頼すると、有償となります。行うかどうか検討しております。

最後に大規模修繕の設計事務所選定のプレゼンテーションで管理組合から質問が出ることが、予想されます。

どのような質問が出て、どのように答えればよいのか、・・・・頭が痛いです。

あなたのマンションは安全で安心なマンションですか?

先日来、報道されているように、横浜市内に建つ、大手分譲会社によるマンションが、杭工事の不備により、傾いてしまいました。

私たちは、同じ建設業に携わる身として、この事件を大変重く受け止めております。

当事者となってしまったマンションにお住まいの方々には、心からお見舞い申し上げます。
平穏に過ぎる日々が、1日でも早く帰ってきますようにお祈りしております。

杭工事は、建物が建ってしまうと、まったく意識されることがありませんが、建物が建てられる過程で一番初めに行われ、かつ一番重要な工事の一つです。

ここで、間違いや不正が行われると、あとから、やり直しができません。最悪、建物を解体して、立て直すほかに補修方法がなくなってしまいます。実に恐ろしいことです。

一方、マンション大規模修繕工事は、仕上げ材を補修するだけなので、杭工事のように大きな問題にならないため、簡単と思われがちですが、杭工事と同じように、間違いや不正があると、区分所有者の生活に大きな影響が出てきます。

あるマンションでは、外壁塗装の種類を20年耐用仕様としたはずなのに、わずか8年間ではがれてしまった。その工事をおこなった施工会社に連絡を取ると、すでに倒産していた。という例がありました。

外壁塗装がはがれた原因を調べると、新築時の塗装を完全に撤去するはずが、撤去されていませんでした。また、はがれやすい部分が適切に補修されないまま、大規模修繕工事が行われていました。

この組合では、施工会社を全面的に信用していたため、大規模修繕の専門家の力を借りる設計監理方式を採用せずに、結果的に不正な工事が行われました。また、正しい施工会社の選定方法がわからなかったために、大幅に安い見積金額に惹かれ、たった数年で倒産するような会社を選んでしまいました。

はがれた外壁塗装を修繕するため、前回の工事からたった10年で再度、大規模修繕を行い、全面的に塗装をはがし、再塗装せざるを得ませんでした。施工会社が行った20年耐用仕様の工事には、通常の工事の1.5倍の費用が掛かった上に、10年目での大規模修繕工事をおこなったため、手持ちの修繕積立金をすべて使ってしまっただけではなく、1戸あたり120万円以上の借り入れをすることになりました。
前回の工事と合わせ、無駄になった修繕積立金は1戸あたり200万円を超えると思われます。

11月3日に開催するセミナーでは、あなたのマンションが大規模修繕工事でこのような悲劇を避けるために、何をしなくてはならないかについてお話しいたします。

セミナーの詳しい内容はこちらから
http://www.renovaters.net/seminar_2015autumn/kyobashi.html

セミナーへのお申し込みはこちらから 11月3日(火) 京橋セミナーです。
http://www.renovaters.net/entry.html

追伸 セミナー参加者の皆様への特典としまして、新・施工会社選定マニュアルをプレゼントいたします。

図1

図2

図3

杭の施工会社だけにすべての責任があるのか?

杭工事はとても大事な工事である以上、杭の施工会社だけではなく、工事を担当した工事会社の現場監督、工事監理を行っている設計事務所も適正な工事が行われているかどうかに対して、責任があります。

というのも、故意であれ、ミスであれ、建物の重さだけではなく、エンドユーザーの運命を支える杭工事にミスがあれば、大変なことになるからです。

私自身も、杭工事には、建設会社の所長、担当者とともに必ず立会いました。
くどいようですが、ここでミスがあれば、オーナーの夢だけではなく、それ以降の建設関係者の努力すべてが無になるからです。

このような体制を取るのは、特別なことではなく、ごく当たり前のことです。

記録用紙が切れた、インクが切れたので、記録がないのが偽造しましたというのは、なかなかありえない話ですし、たとえ担当者が急病で休んでも、適切な工事が行えるような体制がとられています。

豪雨や台風で適切な工事ができないときには、工事を延期することを考えれば、適切な工事体制が取れない場合は杭工事を延期すれば良いことです。

このように考えると、今日、現在「杭工事が適切に行われなかったとされる理由」は、理由になっていません。

たとえ、杭工事の責任者一人が、悪意をもって、不適切な工事を行おうとしても、建設会社の現場監督、設計者など周りの立場が異なる技術者は決して許しません。それ以前に杭工事会社の同僚も見逃さないはずです。

仮に、悪意を持って工事が行われても、監視を行う人がいれば、すぐさま、代替策がとられ、杭工事は無事に終えるような仕組みになっています。

たとえば、杭と支持層の間に大きな岩があり、杭が所定の深さまで打てないということは、たまに出てきます。そのような場合は、適切な場所に代わりの杭を打ち、杭をの上の基礎の形状を変えて対応します。

一番恐ろしいのは、合理化の名目で、このような仕組みが無くなってしまったか、機能しなくなってしまったということです。

マンションが傾いた原因は?

多くのマスコミに取り上げられている杭の施工不良が原因でマンションが傾いた事件を設計と工事監理にかかわる立場からお話してみます。

杭工事の目的

言うまでもなく、杭によって強固な支持地盤(建物を支えることができる地盤)で建物の基礎を支え、建物が沈まないようにするために行う工事です。

工事のなかでも、とりわけ重要な部分で、杭が支持地盤に到達しているかどうかが、杭工事で最大のチェックポイントとなります。

どんな仕事でも、基礎を固めることが一番重要ですが、建物の場合、杭によって基礎を固めます。それほど、杭工事は建築工事において、重要な工事です。

杭の施工時には「杭が短く、支持地盤へ到達しない」「支持地盤だと思っていた地盤が違っていた」ということは、想定できる範囲内で、最大の問題です。

どのような杭の工事方法を採用しても、(杭には既製品の杭を打ち込む方法、現場で杭を作る方法といくつかあるが、今回は、建物規模より後者と思われる)杭が支持地盤に到達していることをチェックする方法を必ず存在しています。

杭工事中の施工データーを紛失した、破損したといっても、そのようなトラブルが何本も連続して発生するわけはなく、それをリカバーする方法もいくつかあるはずです。

また、支持地盤が水平ではなく、傾いているために、杭の長さが場所によって異なるというのも、想定できる範囲内の問題です。

このように考えると、今回のように支持地盤に届かない杭が数多くあり、建物が傾いたというのは、まったく理解に苦しむ事態です。

杭工事が設計以上のものとなっているかを確認することは、建築工事を管理(マネージメント)する立場の建設会社にとっても、監理(チェック・確認)する立場の設計者にとっても、最初の試練です。

ここでミスが出てしまうと、建物に取り返しの付かない悪影響が出るので、チェックも厳しくなる部分です。

またも、マンションに問題が・・・

報道にあるように、大型マンションの杭が支持層に到達していないため、建物が傾いたとのことです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151014-00000513-san-soci

誰かが「意図的な手抜き」「虚偽の報告」を行ったように報じられていますが、それが原因で建物が傾くようなことがあれば、建設会社は社会的な信用を失ってしまいます。

「意図的な手抜き」「虚偽の報告」によって、莫大なリスクに見合うだけの利益は得られないと思います。

このような、問題は、普段であれば、大きな問題にならない、ちょっとしたミスや過信が何十にも重なり、発生してしまうと考えられます。

私を含め、マンションに関わる多くの人が、自分自身の仕事に対して、厳しさを持って望むことが唯一の予防策です。

多くの区分所有者、居住者が不安の中で過ごしています。

1日も早い解決が望まれます。

建物の厄年

人間にも厄年があるように建物にも厄年があると感じる出来事がありました。

築33年で「五反田ゆうぽうと」が9月30日で閉館しました。

しながわ経済新聞よれば、「閉館の理由は建物の老朽化で修繕に大きな費用が掛かるため」とあります。

http://shinagawa.keizai.biz/headline/2400/

ゆうぽうとから会社が近く、私の通勤路にもあたるため、毎日横を通っていたので、10月1日の夜間に工事用鉄板で閉鎖され始めている姿を見て驚きました。

何度か利用したこともあり、それほど老朽化しているとは感じませんでした。

このブログでも、何回か取り上げた赤坂プリンスホテルは1982年11月に竣工し2011年3月末で閉館し東日本大震災の避難所として6月末まで使われ、約30年で解体となりました。

どうも、築30年目というのは、建物特に設備にとっては厄年のようです。

その理由を考えてみますと

マンションでも、築30年目前後には、機械設備(給排水設備)、電気設備の改修が行われ、大規模修繕と同等以上の費用が掛かります。

特に宿泊施設はこの修繕工事費用が莫大に掛かかります。
給排水設備、給湯設備(ボイラー)、配管類、電気設備、空調設備(大型空調機)、エレベーター・・・これらの設備が、一斉に寿命を迎えます。

この頃の建物の多くは、新築時に配管類、機械類の交換に配慮されていない設計が多いのです。

その時代の建物の基本方針はスクラップアンドビルドでした。

設備や配管を交換するとなると、配管類が通っている部分の内装を一度撤去しなくてはなりません。

そうなると、長期間の営業休止となります。

特にホテルのような商業施設の場合は、改修を行うのであれば、設備類だけではなく、エントランス、ロビー、時には外装の大幅な改修を行う場合もあります。

というのも、商業施設のデザインは建てられた時代の最先端のデザインですから、新築から30年経つと、たいへん古びてしまいます。

長期休業をして、リニューアルオープンするなら、イメージも一新したくなります。

修繕に掛かる費用は、どんどん増して行き、建て替え費用と比較すると、建て替えたほうが収支が良いということにもなりかねません。

そうなると、修繕はやめて、建て替える、更地にして売却するといった方針になってしまい、建物はまだまだ、使えるのに、取り壊わされてしまいます。

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