マンション大規模修繕日記

マンション大規模修繕業務に係わる日記です。

2016年03月

交渉役にお願いすること。

まず、これから組合が分譲会社と和解するまで、具体的に何をするのか?をロードマップを作成してもらってください。

修繕工事を行う前には、組合員むけの説明会が必要になりますし、最終的な合意の前には、臨時総会が必要になります。

ロードマップについて、管理会社、分譲会社の双方が納得したら

ロードマップを何時までに誰が何を行うのかを意識した工程表を作成します。

工程表ができたら、何時までに誰が何を行うのかをTODOリストに落としこみます。

ここで、期間の短縮ができないかのシミュレーションも必要です。

組合だけではなく、組合員の合意、分譲会社との折衝も必要なので、建築的な知識と管理組合の運営の双方に慣れていないと、上手くいきません。

「自分たちのマンションにも建築に詳しい人間がいるのだから、こんな交渉くらい自分たちでできる」と考えないでくださいと言ったのは、このような理由からです。

また、ここが重要なのですが、交渉役には、管理会社、分譲会社を交えた3者会議のほかに、「交渉役同士の下打ち合わせ」を行ってもらってください。

問題点の解消の工事と大規模修繕工事の折り合いについても依頼内容に含めてください。

折衝している内容は常に組合に報告してもらい、決定と節目の折衝は組合も参加してください。

これを行わずに、頻繁に3者での会議、打ち合わせを行っても、会議や作業はなかなか前に進みません。

その一番の原因は感情的なわだかまりがあるためです。
組合、分譲会社は当事者同士ですから、常に相手の一挙手一動が気になりますし、言葉使い一つに敏感にならざるを得ません。また提案に対して、双方簡単に妥協はできません。

交渉の実務は、そのような影響が少ない人がどんどん進めないと、なかなか進みません。

4月から大型物件が着工します。

4月から工事が始まる大型物件の打ち合わせがありました。

350戸以上、工期10ヶ月を予定しています。

竣工は11月末になります。

大型物件に限りませんが、工事をスムーズに進めるためには、段取り良く、前倒しで進めなくてはなりません。

そのために、着工前の準備が重要です。

さらに、居住者の協力が必要不可欠です。

そのため、工事説明会を4回開催し居住者の7割以上に方に参加頂きました。

塗装をはじめ、各部の材料の色を早々に決めていきます。

また、管理組合、施工会社、設計事務所がチームプレーで工事に取り組む必要があります。

そのために、毎月2度程度の定例会議を開催します。

まずは、色決めを行いました。

さらに、どの材料をどこまで塗るかということを説明しました。

この作業は太陽光の下で実施することが大事です。

また、最終決定の前に出来るだけ大きな見本で確認することが大事です。

色は大面積になったり、光、照明の加減で見え方が変わってきます。

その後、安全を祈願し懇親会を行いました。

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専門知識を持った交渉役とは? その3の続き

大規模修繕の設計監理を委託した設計事務所が充分信用に値すると感じたならそのまま、有償で委託したほうがよろしいと思います。

なぜ、大規模修繕の設計事務所かといえば

1.すでに管理組合の皆様と信頼関係があり、経緯、状況がよく分かっている。

2.現状の建物のことを一番よく知っている建築の専門家である。

3.組合が充分に信頼に足ると感じたということは、有能だという根拠です。

あたらたにこの3点をより満たす、専門家はなかなか見つかりません。

ただし、委託費用を不当に安くお願いしたり、無償にしたり、成功報酬としてしまっては、先方が断る可能性が高いです。

目安としては、最低限1人工(1日8時間働くとして)5万円くらいはかかります。

これから始まる交渉の準備、交渉、手直し工事の監理等にかかる時間数を計算してもらい金額を決めます。

組合から発注するということは、この費用は組合負担なのか?と疑問をもたれますが、ほとんどの場合、新築時の分譲会社が負担してくれます。

しかし、当たり前のことですが、分譲会社が組合に支払い、組合から交渉役に支払という契約にしてください。

分譲会社から直接支払われるという内容では、支払われる保証がありませんから、受け手はいないと思います。

大規模修繕の設計監理を委託した設計事務所が頼りない場合・・・

うーん。困りましたね。

管理会社さんと良い関係でしたら管理会社さんにご相談してみてください。

新築時の問題点を分譲会社と交渉するポイントその3

新築時の問題点を分譲会社と交渉するポイントの3つ目ですが

分譲会社との交渉作業を専門知識を持った交渉役に委託するということです。

「自分たちのマンションにも建築に詳しい人間がいるのだから、こんな交渉くらい自分たちでできる」と考えないでください。

対分譲会社との交渉は専門家に任せ、組合内の意見をまとめるのが、理事会、修繕委員会の仕事となります。

今さらながらですが、新築時の問題が、重大であるほど、組合内でもいろいろな意見が出てきて、まとめ役がいないと収拾がつかなくなります。

中には、「新築時の価格で買い取らせろ」「慰謝料をとれ」などという好き勝手とはいいませんが、様々な意見が出てきます。

この混沌とした状態をまとめることができるのは、同じ組合員である理事、修繕委員の皆様しかいません。

ここを専門家にお願いしても、上手く交渉が進まないと、怒り心頭の組合員は「金を払ったのだからちゃんと交渉してこい」と自分の味方であるはずの専門家を責めてしまいます。

専門家は、新築時の分譲会社、管理組合両方に対応することになり、分譲会社との交渉に100%の力を裂けなくなります。これは、管理組合だけで、交渉する時も一緒です。

こんな状態で交渉が上手くいくはずがありません。

まとめますと、専門家は対外的な交渉、理事、修繕委員会は組合内をまとめると分業するとお互いに集中して交渉ができる訳です。

専門家には、分譲会社との交渉の経緯を逐一文章で報告してもらってください。

では、専門家とは、だれでどのように探して、どのように頼むのかということになります。

専門家といっても、初めから弁護士に頼む必要はありません。

新たに探す必要もありません。

二つ目の続き

新築時の分譲会社が非を認め、補償の提示が出た場合ですが、大切なことは、適正な合意ラインを設定し、過剰な要求をしないことです。

新築時の分譲会社に対して、要求できるのは、「本来、あるべき姿にあなたの責任と費用で直してください」ということが基本ラインです。

これ以上のいわゆる慰謝料だとか、迷惑料という項目は、なかなか認められません。

交渉に時間をかけず有利に済ませるのであれば、先方からの補償提案については、納得行く範囲であれば、時間をかけずに受け入れることがポイントとなります。

例えば、タイルの浮きの場合であれば、先方から「経年劣化の目安である外壁面積5%を超える分の補修費用を負担します」という回答が出たとします。

この段階で、5%以上の負担でも、組合が損をしないかどうかの検証を行いました。

検証の結果、工法の変更による減額を大規模修繕工事会社と行い組合が損をしないと納得できた段階で、先方からの提案を受け入れることにしました。提案から回答まで1週間かかりませんでした。

そのため、大規模修繕工事のスケジュールは、増えた外壁タイルを補修する時間が増えただけで、交渉によるロスを最小限に抑えることができました。

組合の中には、「浮いたすべてのタイルの補償をしてもらえないと納得できない」「少なくとも、設計で見込んだタイルより増えた分は保証してもらいたい」となれば、交渉は前に進まなくなります。

交渉ごとは、相手から提示された内容に対して、大枠でYesと言っていれば、交渉は前に進みますし、N0と言えば、前に進まなくなります。

大枠でYesと言って交渉を進め、その中で条件多くの場合は保証金額を詰めていく方がよいかと思います。

補償費用は、浮いたタイルの補修工事費のほかに工事が延長にまった仮設足場代、工事事務所のレンタル費用、工期が延長になった分の現場管理費増加部分、増加した工事に対する設計事務所の工事監理費といった項目が増えてきます。

交渉が長引くと、延びた時間に伴いこれらの補償費用も増加してきます。

二つ目に必要なことは

二つ目に必要なことは分譲会社に対して真摯にかつ誠実に対応することです。

分譲会社が悪いのだから・・・という理由で、不当に上目線でものを言ったり、理不尽な要求をしてはいけないと思います。

それは、交渉先の担当者との間にも信頼関係を築かないと交渉は上手く進まないからです。

先方はその会社を代表して派遣されているいわば「交渉のプロ」です。

問題箇所の水増し(浮きタイルの枚数等)や下手な駆け引き(恫喝まがいの言動)をしても、あまり効果はありません。

むしろ、不誠実な組合と判断され逆効果になりかねません。

問題の証拠を示しながら、先方に問題点を伝え、ともに検証し、補償内容を詰めていくことが大切です。

例えば、タイルが異常に浮いているのであれば、その証拠として、集計表だけではなく浮きの状態を立面図に示します。

その立面図を元に、先方は建物の状況を検証していきます。

この資料が正確であれば、信頼関係が築け、交渉はスムーズに進みますし、逆に不正確であれば、交渉は中断してしまいます。

先方が社内で問題点を上司や新築時の施工会社に的確に伝えやすいような準備が必要です。

新築時の問題点を分譲会社と交渉するポイントその1

新築時の建物の問題が発覚したときに交渉を上手く進めるには、「瑕疵」という言葉を使わないほかにいくつかのポイントがあります。

私の経験から、代表的なものをいくつかご説明いたします。

1.感情的にならない。冷静に対応する。

2.真摯に対応する。欲張らない。

3.専門知識を持った交渉役に委託する

まず、感情的にならない。冷静に対応することが大切です。

大切な資産の価値が下がる危険性があり、怒りが収まらないのはわかりますが、問題の解決が目的ですから、感情的にならない方が良いです。

お気持ちはわかりますが、怒りをストレートに相手にぶつけても、ほとんどの場合、先方の交渉役は、仕事として指名されて交渉しています。

その物件の新築工事に対して、直接関係の無い場合がほとんどです。

特に汚い言葉や罵りといったものは、避けられた方がよいと思います。

また、「原因を明確にしろ」と相手に迫っても、原因を作った担当者や施工会社の現場監督は退職していることも、少なくなく、先方も「わからない」としか答えようがない場合もあります。

このような状況を先方が正直に「わかりません」と答えが返ってきても「不誠実だ」「誠意がない」と原因を追求しても、交渉は進みません。

実は、交渉の本質は問題が発生した原因を探ることではありません。再発防止が目的であれば原因の追求は有効ですが「現在発生している問題をどのように解決するか?」の方が大切です。

原因追求に時間を費やしても、問題は何も解決しません。

「原因を追究しないと、先方にどれだけ責任があるか判断できない」と言う方もいますが、今回の問題は交通事故の様に、双方に原因があるのではなく、建物に問題が起きている以上、先方にすべての責任があるという前提で交渉をしています。

先方も問題解決のために交渉に来たのですから、そのことは充分承知しています。

交渉の本質からぶれずに冷静に交渉を先に進めることが大切です。

組合にとっても、組合内部で集中して交渉に充てられる時間はそれほど、多くありません。

その理由のひとつは、組合の集中力に限界があります。

さらに、新築時の問題の多くは仮設足場が組まれてから発覚し、交渉を行っている間も仮設足場のレンタル費は掛かります。

サクラサク

西川口のマンションで打ち合わせがありました。

午前中は強い雨が降っていましたが、お昼頃雨があがり、あっという間に晴れて来ました。

打ち合わせが終わった後、あまりの陽気に誘われ

バスには乗らず、駅まで歩くことにしました。

経路の途中に大きな公園があり、ふと見上げるとサクラが咲いていました。

なkなか、暖かい日が続きませんでしたが、やっと春が来たようです。

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新築時の問題の特徴

昨日お話した例のように、新築時の問題が明白な場合もあります。

しかし、多くの場合は、大規模修繕時に仮設足場を架け、下地調査をしないと問題が判明しないことがあります。

そのひとつの例が、外壁タイルの異常な浮きです。

このように隠れた問題点は厄介で、調査診断時に局所的に外壁タイルが浮いていても施工制度のばらつきという事象があるので、この部分だけで問題提起できません。

建物全体の下地調査を行って、建物の劣化の全体像が見えてきてはじめて、問題が明らかになります。

特に調査を管理会社等、他社が行って、設計事務所が設計から入る物件では、調査診断報告書の確認調査しか行えないので、問題の発見は遅れてしまいます。

簡易診断のような短期間の調査では、隠れた問題は発見できない可能性が大きいのです。

それは、健康診断の問診だけで、病気がすべてわからないのと一緒です。

病気を発見し、適切に治療するためには、各種の精密検査と治療が必要となります。

ここで言う精密調査とは、建物調査診断ではなく、仮設足場を掛けた建物の全面調査のことです。

もしも、大規模修繕工事の関係者の中に新築時の問題点の隠蔽を考えている人がいれば、仮設足場を掛けた建物の全面調査時に明らかになった調査結果を改ざんすることができます。

組合に対して、問題が無かったかの様に報告し、こっそりと直すか、直した振りをするか、そもそも、気がつかなかった振りをするか・・・

なぜなら、分譲会社にとって、管理組合に対して新築時の問題点を自分から正直に報告することは、組合の皆様が考えているよりも、大変なことです。

解決までの長い、長い道のりが待っています。

時間も掛りますし、補償の打ち合わせも大変です。

これを行うには、担当者、マネージャー、経営者すべてに勇気が必要なことです。

そんなことなら、大規模修繕工事の見積金額を大幅に下げて、利益が出なくとも、大規模修繕工事の受注を・・・

というのは、よくない想像になってしまいます。

管理組合が取れる自己防衛策のひとつとして、建物の状況、工事の状況を正直に伝えてくれる設計事務所と委託契約を結ぶ方法があります。

ただし、委託契約を結ぶ設計事務所が建物の問題点に気がつかないのであれば、意味がありませんが・・・

昨日の続きです。

裁判所の判断は、以下のようなものでした。

1.外構の床のインターロッキングが不同沈下。

不動沈下の原因は、竣工図でどおりにインターロッキング下に砕石が45cm敷かれていないことだと認定されました。

不動沈下によって、居住者の歩行に支障が出ています。


2.竣工図では、コンクリートのはずの塀がブロックでできていた。

塀の破損原因は車をぶつけたことであり、竣工してから塀としての機能に問題は起きていないので、問題ない。


3.2箇所で設計した換気扇を工事の段階で1箇所にまとめたことが、カビ発生の原因と考えられる。

地下のトランクルームにカビが全面的に発生している被害が出ている。


施工会社が裁判所の判断に基づき、インターロッキング、換気扇について補修をおこないました。

ここでのポイントは、竣工図が残っていたことです。

竣工図は契約図書ですから、契約不履行と判断されたのです。

しかし、このような事態であっても、具体的な被害が出ていない場合には、裁判所の判断では、分譲会社に落ち度はないと判断されることもあります。

また、最近はなぜか分譲会社から管理組合に渡される竣工図が一般図と言われる建物の概要しかわからない図面だけというケースが増えています。

できるだけ、早急に詳細までわかる竣工図を入手しておくことが大切です。

図2

図1
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