マンション大規模修繕日記

マンション大規模修繕業務に係わる日記です。

2023年01月

修繕積立金が突然を足りなくなってしまう要注意な設備3

修繕積立金が大幅に不足してしまうマンションによく見られる設備は、暖房、給湯に大型ボイラーを入れ、セントラル方式としているマンションも積立金が不足となりがちです。

高齢者向けのケァの手厚いマンション、超高層マンションに多く、一般のマンションでもたまに見かける設備方式です。

建物の1階か地階に大きなボイラー室機械室があり、住戸の中に給湯、暖房用のボイラーが無いのが特徴です。
 
一見、個人の負担ではなくみんなのお金でボイラーの交換を行うので、得をしたように感じますが、地下室のボイラー、各戸までの配管、熱交換器は修繕積立金で交換する事になっています。

その分だけ、修繕積立金を貯めている若しくは高いのでしたら良いのですが、そうなってはいないケースが少なくありません。

特に問題できを付けなくてはならないのが熱交換器の所有区分です。

分譲時は、専有部に入っていた熱交換器の交換時期が近づいた築15年を超える辺りで「熱交換器を専有部から共用部に入れる」ことが総会で決められることがあります。

これは、熱交換器が個人所有のままだと交換時期を過ぎても交換しない方が出て来るので、全戸の熱交換器を共用部にして、確実に交換出来る様にするためです。

共用部になったので、熱交換器交換費用は、修繕積立金から支出されるので、その分修繕積立金は減ってしまいます。

なかには、「個人負担が無くなって良かった」と感じる方もいると聞いています。

そうではなく、熱交換器交換費用の分だけ、積立金を値上げしないと修繕積立金が不足します。

修繕積立金が突然を足りなくなってしまう要注意な設備2

修繕積立金が大幅に不足してしまうマンションによく見られる設備がもう一つあります

それは、ロードヒーティングです。

昨今の燃料費が上がったということもそうですが、それ以上に問題となっているのが、ロードヒーティングのボイラー更新です。

大体、15年ごとに更新が必要な設備ですが、交換費用はボイラーの台数×交換費用となっています。

ボイラー1台あたりの融雪範囲は大体決まっていますので、広い面積の融雪をおこなっているマンション程ボイラーの台数も多いです。

中には、駐車場が複雑な形で広く、かつ車路と駐車スペースにロードヒーティングが入っているため100戸未満でも10台のボイラーがあるマンションもあります。

融雪ボイラーの交換費用が1台あたり100万円だとすると10台あればそれだけで15年ごとに1,000万円掛かります。

長期修繕計画書に組み入れられていれば良いのですが、なぜか長期修繕計画書から抜けているマンションもあり、思わぬ出費となります。

なぜ、含まれないのか?と考えますと長期修繕計画標準様式の記載例に含まれていないことが原因なのでしょうか?

修繕積立金が突然を足りなくなってしまう要注意な設備

長期修繕計画書の見直しをしていますとなぜか積立金が大幅に不足してしまうマンションがあります。

そのようなマンションに共通してある設備は機械式駐車場です。

なぜか既存の長期修繕計画書に機械式駐車場に掛かる費用が計上されていない例が多く、管理組合を通して機械式駐車場をメンテナンスをしている会社に長期修繕計画を請求すると20台の駐車で15年間に3,000万円ほどの工事費が計上されています。

駐車パレットや昇降設備のメンテナンス費用に大きな金額が記載されています。

大規模修繕工事と変わらない費用が、今後15年間に必要であることが新たに判明します。

このメンテナンス費用の負担は、受益者負担の観点に立つと駐車場を利用していない組合員から不満が出る事例の多い設備です。

どんどん早くなる大規模修繕工事の準備

2023年が明けたばかりですが、相変わらず忙しい日々が続いています。

数年前は11月末から12月中旬に大規模修繕工事が終わると、12月、1月は言わばオフの時間でのんびりと仕事ができました。

2月に春工事説明会の打合せが始まり、3月に工事説明会を行い、4月に工事が着工、建物調査診断は連休明けに始まり、やっと1年が本格的に始まる感じでした。

しかし、ここ数年は工事は12月いっぱいまで掛かり、春の大規模修繕工事が3月着工となるため、工事説明会は2月から始まります。

そのため、工事説明会のための打合せは年末から1月に行っています。建物調査診断も3月末から4月早々から始まります。

なぜ、このような状況になったかと言えば、一つ目は、職人さん不足のために工事着工時期を前倒ししたい施工会社が増えたためその影響です。

又、2020年の新型コロナウイルス感染拡大によって、大規模修繕工事を実施するための理事会も総会も開催が見送りになりました。工事を実施するにも工事関係者からの感染の可能性を理由に反対意見が出ました。

そのため、その年に予定していた工事の何割かが発注できなくなりました。

冷静に考えれば、大部分が屋外で行われ、居住者対応をする現場監督はマスクをはじめ感染防止策を取ります。

大規模修繕工事関係者からの感染リスクはかなり低いはずです。

ところが、諸官庁からの行動制限が出たため居住者の中には「工事関係者から感染した場合、一体だれが責任を取るのか?」といった工事に反対する人がどのマンションにも居ました。

中には、この行動制限に対する居住者の過剰反応の意見に対して、理事会、工事関係者の何方も納得して頂けるだけの説明を行わず、契約していた工事までそのまま延期になった物件もあったそうです。

契約し準備をしていた工事が延期になることは、施工会社にとっては大きな痛手なのですが、「工事は来年するのだから問題無いでしょ」と何の保証も無かったとのことです。

2020年、21年に予定されていた工事が翌年、よく翌年年に持ち越されてしまい、工事発注のタイミングが後ろ倒し大きくずれ、施工会社は混乱しました。

このような状況で翌年に予定されていた工事はできるだけ早い時期に発注しないと、施工会社の工事のキャパシティーが前年予定の工事で早々に埋まってしまい、秋を過ぎると次年の工事が受注出来ない」という状況になっています。

弊社は工事説明会等出る「工事関係者からのコロナウイルス感染の可能性があるため工事反対」という意見に対して、理事会と共に説明をして工事を実施しました。

新年あけましておめでとうございます

本年も宜しくお願い致します。

昨年は工事費の高騰、職人さん不足、工事の遅延とマンション大規模修繕工事を取り巻く状況は決して良いものではありませんでした。

また、これらの問題は昨年だけの問題ではなく、今年も引き続き解決策が求められる問題です。

ウクライナ情勢に端を発した物価の上昇が更に工事費を押し上げ、修繕積立金の不足を招いています。

長期修繕計画の見直しを行っても、全てのマンションで積立金の不足となっております。

長期修繕計画説明会においては,この物価高の状況においての修繕積立金の値上げを諮る事の難しさが増していることを切実に感じています。

我々も微力ですが、昨年にも増してこれらの問題の解決に尽力してまいります。
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