マンション大規模修繕日記

マンション大規模修繕業務に係わる日記です。

2024年05月

もう、バルコニー検査の季節になりました。

最近は大規模修繕工事の着工がどんどん早まっています。

これまでは、4月着工でしたが、今は街中の物件は3月上旬から着工しています。

順調に工事が進むと、5月の半ばにはバルコニー検査ができるようになります。

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修繕積立金が低くても済むマンションは何が違うのか?

修繕積立金の適正額はマンションによって千差万別です。

300円台というマンションがある一方、中には、見直し後の積立額が百円台前半で済むというマンションもあります。

その金額差のあるマンションの違いは何かと言えば、大きな違いのひとつは駐車場料金の取り扱い方の違いです。

修繕積立金が低くても済むマンションは、敷地内の居住者駐車場の恩恵を最大限に受けれる様に考えています。

ほとんどのマンションでは、駐車場料金を管理費会計に入れていると思います。

しかし、修繕積立金が低くても済むマンションのほとんどでは、新に「駐車場会計」を作り、そこに駐車料金を一旦プールし駐車場の補修費用、駐車場の除雪費用を賄い、剰余金を修繕衝立金に移管し組み入れています。

駐車場料金を管理費会計に入れてしまうと、管理費が潤沢にあるように見えてしまい、どうしてもいろいろな所に管理費を使ってしまいます。お金があるのだからと支出の無駄の見直しも進みません。

管理費も駐車料金が加わるのですから一見安く済んでいるように見えます。

しかしながら、マンション竣工直後から10年くらいは、除雪費以外に駐車場関係の支出は少ないので、別会計にすると駐車料金のほとんどを積立金会計に移管することが出来ます。

例えば、駐車料金が1台1万円で10年間で120万円 そこから除雪費を引いても年間百万円近くの駐車料金が駐車台数分積立金会計に貯まっていきます。

修繕積立金が仮に月1万円だとしても、駐車料金の大部分を合わせた金額が毎月、修繕積立金として貯まって行くのですから、修繕積立金を低く抑えることが出来ます。

また、そのために駐車料金は居住者の車が周囲の駐車場に流失しないように周囲の相場から若干安いくらいの高額を維持しています。

たまに駐車料金を「みんなの為に」という耳障りの良い理由で月3千円から5千円と格安に抑えている組合もありますが、これをやると別会計としてもお金は貯まりません。

更に言えば、このようなマンションの駐車場にはロードヒーティング設備はありません。

ロードヒーティング設備は確かにじょせつの必要が無い為、とても便利な設備ですが、何といってもお金が掛かります。

熱源となるボイラ−は10数年に一度交換するために多額のイニシャルコストが必要になります。

燃料のランニングコストの負担が大変も大きく、両方で駐車料金の大半が消費されてしまうほどの高価な設備です。

果たして、分譲マンションに必要不可欠で経済的な設備かと言えば疑問が残ります。

中には、金食い虫と言う人もいます。

同じ理由で機械式駐車場も金食い虫です。

1台あたり300万円の駐車設備を30年間で入れ替える必要があり、それだけで月1万円の駐車料金としても30年間の駐車料金の大半が消えてしまいます。

そのためロードヒーティング設備と機械式駐車場の両方があるマンションは、敷地内の居住者駐車場の恩恵をほとんど受けることができません。

これらについては、大規模修繕と長期修繕計画にある程度精通している人は、多くが気が付いていることです。

しかし、このような方式を取ることが、自分の利益にならない人、あるいは不利益となる人は知っていてもアドバイスはしてくれません。

あくまでの組合員が自分たちで考え、行動しないと本当に有益な情報は手に入りませんし、実行する事もできません。

今の修繕積立金では足りていないのではないか?

前回でもお話しました様に積立金が不足するのではなく、これまで、必要な積立金が積まれていなかっただけです。

昔から住宅は自家用車の10倍の価値と言われています。

価格も新築、中古とも多少の差はありますが、車の約10倍前後です。

面積も10倍ちょっと 耐用年数も10倍程度・・・

ところで、自家用車の維持費は月にどれくらいかかりますか?

車検代、保険代、修理代・・・多少の差はあっても均すと月に1万円以上は掛かっていませんか?

月1万円は掛かっていなくとも月5,000円以上はかかりますよね。

マンションではなく、一戸建てに住んだことがある人は、建物を維持するのにどれだけ大きなお金が掛かるか身に染みています。

ちょっと何かをいじれば、十万円単位のお金がアッという間に飛んでいき、何か工事をすれば百万円単位のお金がかかります。

そう考えると、よほどの理由がない限り、1万円前後の積立金で鉄筋コンクリート製の建物を長期間健全に維持できるとは考られないと思います。

木造戸建てに比べれば、むしろマンションは維持にお金が掛からない良い建物と言えます。

戸建てに住んだ経験のある、多くの組合員は修繕積立金が足りないのではないかとうすうす気が付いていると思います。

しかしながら、建物を健全に維持するために積立金を積極的に上げようとする人はごく少数です。

むしろ、出来れば上げたくない人が大多数です。

上げずに済むなら上げたくない金額です。

最近の物価高でお金を使いたいところは他にいくらでもあります。

かといって、建物の修繕資金を後回しにしても良いのでしょうか?

管理会社が修繕積立金ガイドラインの数字を修繕積立金不足の根拠として提示しても上げたくない人は根拠として認めないようですし

中には、ガイドラインの数字は、全国版であって、札幌の必要額はもっと低いはずだという謎の主張をする人もいます。

修繕積立金値上げの根拠として、設計事務所が作成した長期修繕計画を提示してもその中のわずかな「ミス」や「アラ」を探し出して、「計画書が信用できない」と主張したり、

「作成した設計事務所が信用できないので値上げは認めない」と主張する方もいます。

皆さん心のどこかで、修繕積立金は低ければ低い程良いと思われているようです。

ある組合の長期修繕計画説明会で、積立金の値上げに対して後ろ向きな発言や質問が相次ぎました。

そのマンションにお住まいのマンション管理士さんが「これだけ物価や工事費があがっているのに、管理費や修繕積立金が上がらないわけがない」

「管理費や修繕積立金を上げることに反対する人は、このマンションに住む資格がない」とあまりのド正論を語ったのには驚きました。

「その通り‼」と叫びそうになりましたが、説明会後に請求書を出さねばならないので、我慢しました。

長期修繕計画の見直しで困ること

長期修繕計画の見直しを行うと例外なく修繕積立金の値上げとなってしまいます。

中には現状より10,000円近くの値上げとなる組合もあります。

それとは逆に戸当たり3,000円程度値上げで済む組合もあります。

この二つの組合の違いは何かと言えば、過去と現在の積立金額と積立金の残高です。

積立金不足で1回目の大規模修繕工事を3年ほど待った組合は、工事後の積立金残高もほとんどありません。

過去の積立金額を伺うと分譲当初の積立金は驚くほど低くかったです。

長期修繕計画書の見直しをすると積立金の値上げ幅が大きく10,000前後の値上げが必要になります。

一方、分譲当初からそこそこの積立金額を維持している組合は大規模修繕工事が終了しても、

工事に掛かった費用と同じくらい積立金が残っていて、積立金の値上げ幅が3,000円程度に抑えられます。

工事に掛かる費用は、建物規模や形状によって多少の差はありますが、ある程度決まっています。

工事費に2倍の差が付くことは滅多にありませんが、修繕積立金の徴収額が何倍になっている例はザラにあります。

「分譲時の積立金が意図的に安く抑えられている」このことに気が付き、組合員を説得し、竣工後早い時期に積立金を適正額迄値上げすることが出来た組合は積立金が充分に貯まっています。

一方、積立金が低額のまま、疑問に思いながら対策を取らずに過ぎてしまった組合は積立金が大きく不足しています。

前回のような時間軸と積立額のグラフを作れば、一目瞭然なのですが、そうはなっていません。

例えは、悪いかもしれませんが、まるで、イソップ童話のアリとキリギリスの話を彷彿とさせる話です。

過去にお金を多く積立をしたから、今積立金が貯まっている。

当たり前と言えば、当たり前なんです。

この前提をすっかり忘れて、今まで積立金を充分に貯めていない組合に限って「修繕積立金を急にそんなに値上げできない」と強い反対が起きます。

「何とかならないか?」と相談されても、どうにもなりません。

「組合員を納得させてほしい」「説明会を組合員が納得するまで何回も開いてほしい」と言われることもあります。

基本的に契約して頂いた長期修繕計画見直し業務には含まれていない内容です。

組合員の説得は組合内の問題ですから、設計事務所には無理な内容です。


修繕積立金の大幅な値上げの理由

大幅な値上げが必要になる最大の理由は何といっても修繕積立金残高が足りないことに尽きます。

長期修繕計画書の見直しをするまでに必要な積立金を貯めていないということですね。

どこかで「マンションを売りやすくするために販売会社は分譲当初の積立金を大幅に低く抑えて販売したマンションもある。」というお話は、聞いたことがあるかと思います。

分譲時の長期修繕計画書通りに積立金を支払っていたため、修繕積立金が低いまま年月が過ぎてしまい、いざ、大規模修繕工事を行おうとした時に工事費が全く足りなくて大変困った。

このようなマンションが全国で続出しました。

低額の修繕積立金の弊害を改善するために国土交通省は2008年(今から16年前です)に修繕積立金ガイドラインを設定して、修繕積立金の相場、目安を示しています。昨今、大規模修繕工事費が大幅に上がったことに対応し、に2021年には、修繕積立金ガイドラインの改訂を行い、修繕積立額の平均値、3分の2が含まれる幅の下限値、上限値が大幅に増額となりました。

特に延床面積が5,000嵬にのマンション(北海道ですと50戸程度未満)の場合、上げ幅は大きく、3分の2が含まれる幅の下限値は改定前で165円/屐Ψ遏改定後は235円/屐Ψ遒任后実に1.4倍になりています。

にもかかわらず、修繕積立金ガイドラインで示された修繕積立金の平均値どころか3分の2が含まれる幅の下限値に満たないマンションが多いのが現状です。

このようなお話を組合の皆様にしても「うちのマンションは何年か前に200円/屐Ψ遒望紊欧燭ら、今はそれほど上げなくても良いのでは?」と質問されます。

しかし、大切なのは、今の積立金の額だけではなく、これまでにどれだけの積立金を貯めたのかが重要となります。

極端な例の仮想グラフを載せますが、マンション分譲時には、積立金がとても低く、数年おきに積立金を徐々に上げていく方式を取ったマンションを例にしますと(緑の面積が段階値上げのマンション積立金の合計額です)分譲当初からガイドラインで示された下限値の金額を分譲後から積み立てているマンションと比べると、段階値上げのマンションのこれまでに積み立てられた金額は55%つまり、半分しかありません。

そもそものこれまで貯めた積立金が少ないのですから、修繕積立金の適正化をしようとすると、ここの不足分を取り戻すためにかなり大幅な値上げとなってしまいます。

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