まだ、11月末も迎えていませんが、来年の建築の大規模修繕工事の施工会社は
全物件内定が出ています。
いくつかの施工会社に聞いても、ほとんどの会社の営業担当は2025年の春工事、
秋工事とも会社が請けられる物件数をすでに確保しているらしく2026年工事を
前提とした受注状況についての話となります。
右肩上がりの売り上げ、利益を確保したい施工会社、管理組合の依頼を受け断れない
会社は未だ2025年の受注活動を行っています。
どの施工会社も会社の受注キャパシティを超える受注をした場合、工事は多くても全く
利益が出ないという苦い経験をしており、最近は会社のキャパシティを堅実に守って
いるため、大きな工事の遅延や越年工事もなく進んでいます。
しかしながら、施工会社選定が年々前倒しとなっていて、遅くとも秋には公募を
行うわないと応募会社が現れないという昨今の厳しい現実を知らない管理組合、
管理会社の中には、無理な発注をしている物件もあります。
悲しいことにその無理な物件を受注せざるを得ない施工会社もあるようです。
例えば来春から着手しないと、終わらないと思われる大型複雑物件の公募に
「夏着工の秋工事」で応募する会社がありました。
そのマンションに住んでいる方から公募応募を依頼され断り切れなかったようです。
春物件はすでに埋まっていたため、「夏着工の秋工事」で応募しれたようですが、
見積金額が高いのならまだしも、一番の安値で見積が提出されると管理組合の皆
さんは心が振れてしまいます。
(施工会社としては、組合内に推薦者がいる場合、ちょっと安く見積も有を出して、
大型物件が受注できれば御の字と考える営業もいるようです。経営幹部の中には、
受注してしまえば何とかなると甘い考えの方もいます。ちなみに他の応募会社は
全て春着工としてそれなりの高い金額で見積を提出されています。)
設計事務所としては、そのマンションの規模、形状より「夏着工の秋物件」が潜在的に
抱えるリスクを説明し組合さんに候補から外すようにお願いします。
ところが、万が一その会社を強力に推した方が理事会、修繕委員会に居る場合、安い見積
金額を理由に「夏着工の秋工事」の会社に決まってしまうことが無いわけではありません。
そのような場合、設計事務所は契約の条件として、施工会社の営業に「工期は絶対に遅れ
ない、越年もしない」という条件を出して契約してもらうので、施工会社は弱音を聞けません
し管理組合が工事の遅延や越年工事は許さないという状況になっています。
経営幹部は自分が現場を見るわけではないので、管理組合、設計事務所が出した「工期は絶対
に遅れない、越年もしない」という契約の条件を深く考えずに飲む例も少なくありません。
こうなったときにこの物件を会社から任された現場監督は、工期の設定に無理がある以上、
仕事にすりつぶされかねない状況に追い込まれることが予想されます。
建物形状から、予定通りに足場を組み合立てることができなかった場合、タイル工事、躯体
補修工事、塗装工事が他の物件の秋着工物件と重なり、職人さんの取り合いが発生し更に
工事が遅れ始めます。
設計事務所としては、居住者の方に多大な迷惑が掛かる越年工事は許せませんから、
工期厳守を現場監督に求めます。
事前にこの現場に入る予定だった職人さんは、足場の工事が遅れた段階で予定通りに工事に
着手できませんからキャンセルとなり、遅れて足場が出来ても他の物件での契約があるため、
この現場には来れないことが多いと思われます。
人手不足の中、新たに大型物件の施工に必要な職人さんの手配をしなくてはなりません。
10人頼んでも人手不足と、工事が集中しているため現場に来てくれるのは5人という
ような状況になり、さらに工事は遅れます。
設計事務所と管理組合はさらに現場監督に工期遵守を要求した上で施工会社の営業、現場
統括部長を呼び出し、全社一丸となって「工期は絶対に遅れない、越年もしない」という
条件を守るように施工会社にお願いします。
「工期を守れないときは遅延損害金というペナルティーを科す」厳しい組合さんも中には
います。
こうなると現場監督は、管理組合、設計事務所だけではなく、会社からも責められること
になり、最悪、心を病み会社から離れる人も出てきます。
しかしながら、この現場監督の苦労は、はっきり言いますと「工期を春工事にしておけば、
経営幹部が勇気を出して安易な受注をしなければ、しなくても良かった全く無駄な苦労」
です。現場監督も人手不足ですから現場監督も途中で逃げ出すかもしれません。
「自社の社員をすりつぶして良いのか?」と経営幹部に聞けば100人が100人とも
もちろん「ノー」と答えます。
しかしながら、経営幹部の「今まで彼に任せれば、何とかしてくれた、何とかなった」
というちょっと無責任な甘い判断が結果として社員をすりつぶすことになるのが、
今の現場を取り巻く職人不足の状況です。
「戦略の失敗は戦術では補うことができない」という状況です。
「経営幹部の甘い判断(戦略の失敗)は現場監督の努力(戦術)で補うことができない」
となります。
昔のように転職が難しい時代ではなく、何もしなくても転職スカウトからの連絡が毎日の
ように入る時代です。
全物件内定が出ています。
いくつかの施工会社に聞いても、ほとんどの会社の営業担当は2025年の春工事、
秋工事とも会社が請けられる物件数をすでに確保しているらしく2026年工事を
前提とした受注状況についての話となります。
右肩上がりの売り上げ、利益を確保したい施工会社、管理組合の依頼を受け断れない
会社は未だ2025年の受注活動を行っています。
どの施工会社も会社の受注キャパシティを超える受注をした場合、工事は多くても全く
利益が出ないという苦い経験をしており、最近は会社のキャパシティを堅実に守って
いるため、大きな工事の遅延や越年工事もなく進んでいます。
しかしながら、施工会社選定が年々前倒しとなっていて、遅くとも秋には公募を
行うわないと応募会社が現れないという昨今の厳しい現実を知らない管理組合、
管理会社の中には、無理な発注をしている物件もあります。
悲しいことにその無理な物件を受注せざるを得ない施工会社もあるようです。
例えば来春から着手しないと、終わらないと思われる大型複雑物件の公募に
「夏着工の秋工事」で応募する会社がありました。
そのマンションに住んでいる方から公募応募を依頼され断り切れなかったようです。
春物件はすでに埋まっていたため、「夏着工の秋工事」で応募しれたようですが、
見積金額が高いのならまだしも、一番の安値で見積が提出されると管理組合の皆
さんは心が振れてしまいます。
(施工会社としては、組合内に推薦者がいる場合、ちょっと安く見積も有を出して、
大型物件が受注できれば御の字と考える営業もいるようです。経営幹部の中には、
受注してしまえば何とかなると甘い考えの方もいます。ちなみに他の応募会社は
全て春着工としてそれなりの高い金額で見積を提出されています。)
設計事務所としては、そのマンションの規模、形状より「夏着工の秋物件」が潜在的に
抱えるリスクを説明し組合さんに候補から外すようにお願いします。
ところが、万が一その会社を強力に推した方が理事会、修繕委員会に居る場合、安い見積
金額を理由に「夏着工の秋工事」の会社に決まってしまうことが無いわけではありません。
そのような場合、設計事務所は契約の条件として、施工会社の営業に「工期は絶対に遅れ
ない、越年もしない」という条件を出して契約してもらうので、施工会社は弱音を聞けません
し管理組合が工事の遅延や越年工事は許さないという状況になっています。
経営幹部は自分が現場を見るわけではないので、管理組合、設計事務所が出した「工期は絶対
に遅れない、越年もしない」という契約の条件を深く考えずに飲む例も少なくありません。
こうなったときにこの物件を会社から任された現場監督は、工期の設定に無理がある以上、
仕事にすりつぶされかねない状況に追い込まれることが予想されます。
建物形状から、予定通りに足場を組み合立てることができなかった場合、タイル工事、躯体
補修工事、塗装工事が他の物件の秋着工物件と重なり、職人さんの取り合いが発生し更に
工事が遅れ始めます。
設計事務所としては、居住者の方に多大な迷惑が掛かる越年工事は許せませんから、
工期厳守を現場監督に求めます。
事前にこの現場に入る予定だった職人さんは、足場の工事が遅れた段階で予定通りに工事に
着手できませんからキャンセルとなり、遅れて足場が出来ても他の物件での契約があるため、
この現場には来れないことが多いと思われます。
人手不足の中、新たに大型物件の施工に必要な職人さんの手配をしなくてはなりません。
10人頼んでも人手不足と、工事が集中しているため現場に来てくれるのは5人という
ような状況になり、さらに工事は遅れます。
設計事務所と管理組合はさらに現場監督に工期遵守を要求した上で施工会社の営業、現場
統括部長を呼び出し、全社一丸となって「工期は絶対に遅れない、越年もしない」という
条件を守るように施工会社にお願いします。
「工期を守れないときは遅延損害金というペナルティーを科す」厳しい組合さんも中には
います。
こうなると現場監督は、管理組合、設計事務所だけではなく、会社からも責められること
になり、最悪、心を病み会社から離れる人も出てきます。
しかしながら、この現場監督の苦労は、はっきり言いますと「工期を春工事にしておけば、
経営幹部が勇気を出して安易な受注をしなければ、しなくても良かった全く無駄な苦労」
です。現場監督も人手不足ですから現場監督も途中で逃げ出すかもしれません。
「自社の社員をすりつぶして良いのか?」と経営幹部に聞けば100人が100人とも
もちろん「ノー」と答えます。
しかしながら、経営幹部の「今まで彼に任せれば、何とかしてくれた、何とかなった」
というちょっと無責任な甘い判断が結果として社員をすりつぶすことになるのが、
今の現場を取り巻く職人不足の状況です。
「戦略の失敗は戦術では補うことができない」という状況です。
「経営幹部の甘い判断(戦略の失敗)は現場監督の努力(戦術)で補うことができない」
となります。
昔のように転職が難しい時代ではなく、何もしなくても転職スカウトからの連絡が毎日の
ように入る時代です。