マンション大規模修繕日記

マンション大規模修繕業務に係わる日記です。

2025年07月

フランク永井ならぬブランクが長いと起こること

前回お話しした様に資金不足から中断してしまい、突然再開する大規模修繕工事物件ですが、中断する期間が1年や2年であれば、大きな影響は無いのですが、3年、4年、5年と中断するとなるとその間に工事単価はどんど上がるし、建物の劣化状況だって進みます。

工事費の上昇に対しては、工事単価を入れ替えることで対応することが出来ますが、そうすると当然なのですが、想定工事費も上がってしまいます。

充分な工事予算が確保されていれば良いのですが、工事予算が無くて中断した物件ですから、またもや予算不足となりかなません。

そこで、工事項目を当初の想定工事項目よりも減らし、確保できる予算内で収まる様にします。

最終的な工事項目についての周知は、工事実施の臨時総会等で詳しく説明したり、資料を配布するしか方法がありません。

大変心苦しいのですが「あそこも壊れている。あそこも直して欲しい」といった声には、対応できなくなってしまいます。

又、中断期間中の建物の劣化状況の進行は、建物を再調査をしない限り、劣化状況を見積に正確に反映することは出来ません。

しかしながら管理組合に「建物の劣化が進行している可能性がありますので再調査しましょう。費用はこれだけ掛かります。」と伺っても賛成してくれる管理組合はないと思います。

再調査に掛けるお金があるなら、工事に回して欲しいというのが組合員の本音でしょう。

可能であれば工事予備費を多めに取って、備えるしか具体的な対応策はありません。

突然、前触れもなく再スタートする物件

昨今のマンション大規模修繕工事金額の高騰は、本当に驚くを通りこして、あきれるものがあります。

前回の大規模修繕工事費の2倍という物件も少なくないです。

最も、工事内容が違うので、一概に2倍という訳ではないのですが・・・・

この様に工事費が大きく上昇してしまうと、修繕積立金の不足という事態が発生します。

調査診断、設計の中で設計時の工事概算費を算出し理事会もしくは修繕委員会に提出します。

この金額を見た理事長さんが、修繕積立金残高と比較し言葉を失ってしまうこともあります。

「理事会内で検討して連絡します」と言われ・・・

そのままコロナ過に突入し、それっきり連絡が途絶えてしまうというケースが何件かありました。

管理会社に確認すると積立金が大きく不足しており、不足する工事費借り入れに反対している理事もいて理事長は困っている。

なんてお話を伺うと、なんだかこちらから連絡が取りにくくなります。

そのまま2年経ち、3年経ち、すっかり忘れた頃に管理会社から「借り入れをして、すぐに工事を行ってくれとうことになりました」と連絡が来ます。

年間の工事監理ができる物件数にも上限があり、施工会社の選定のタイミングもあります。

想定外の物件に急遽対応しなくてはならないということです。

皆様のご尽力で再開になんとかこぎつけたけた物件です。

設計事務所の立場で「ちょっと、待ってください。」とは言えません。

かといって言って単純に「良かったですね」とは言いにくい状況です。

せめて、途中で相談や報告をいただけると助かるのですが・・・

毎日が赤ペン先生

設計事務所は、大規模修繕工事中は工事監理と言う立場で大規模修繕工事に携わっています。

本来、工事監理とは、管理組合が施工会社と契約した工事が適切に施工されているかどうかを検査確認する業務です。

修繕設計した設計事務所がそのまま工事監理を行うことが多く、工事内容を的確に施工会社に伝える業務も工事監理に含まれます。

施工会社は、着工する前に管理組合と契約し工事説明会を行います。

又、着工後は毎月1回、管理組合と設計事務所と総合定例会議を行います。

その際の議題や説明会の資料は、施工会社が作成します。

その議題や資料が問題です。

工事を居住者の皆様とトラブルなく進めて行くには、どのタイミングで、管理組合と何を話し合い、何をいつまでに決め、居住者に伝え行動してもらうかが大切です。

例えば、工事中の敷地内の自家用車の移動や網戸の取り外し、再取り付けなどがこれにあたります。

居住者に情報を伝えるタイミングが早すぎると、行動してもらえず、伝えるタイミングが遅れるとトラブルになります。

何よりも、配布資料の作成はある程度の文章力がないと、理事会や居住者の皆様に問題が何か?何を検討して決めてもらいたいのか?なにをしてもらいたいのか全く伝わりませんし、居住者は協力したくとも行動ができません。

そのため、施工会社の現場監督に管理組合との打ち合わせ前に議題と資料を送ってもらうようにしているのですが・・・・

送ってもらうと、添削の「赤ペン先生か」と言うくらいチェックを入れることが少なくありません。

又、議題と資料が会議ギリギリになって送られてくることが多く・・・

念のため修正版を再送してもらい再チェックしなくてはならないこともあり、もう、最近は毎日が赤ペン先生です。

談合会社は即刻排除すべきと言われました。

最近、ブログの更新が滞っていますが、いろいろなことがありすぎて何から書けば良いかわからない状態です。

つれづれ書いていきます。

本年3月のマスコミ報道で明らかになった、首都圏の大規模修繕の施工会社による談合問題。

20社を超える多くの施工会社に公正取引委員会が立ち入り調査をしたという報道です。

2026年の大規模修繕工事の施工会社選定において、公正取引委員会が立ち入り調査をしたとマスコミに報道させた施工会社の北海道支店の取り扱いが問題となる場合があります。

多くの理事は、「この報道は首都圏の施工会社の問題であり、北海道の支店には関係はないので、施工会社選定に影響は与えない。」という解釈です。

しかし中には「談合に名前が出るような会社は即刻選定から外すべき、見積にも参加させてはいけない。選定に加えたことが組合員から問題視される可能性がある」という少数意見も出ています。

設計事務所としては施工会社選定に関しては「事務処理を行ういわば黒子の役割」なので、基本的には「組合で決めたことに従う」という立場です。

しかしながら、我々にこの件に対してどのように考えれば良いか理事会から意見を求められることもあります。

個人的な見解としては、その判断が行き過ぎたものとなって、後の組合運営に影響が出ないことを第一に考えています。

・まだ、公正取引委員会の結論が出ていない。

・本件は首都圏の問題であり、営業エリアが異なる(多くの施工会社が異なる)札幌にそのまま同じことが当てはまるとは断定できない。

・弊社の場合は新聞公募と同時にマンション内公募も組合に勧めているので、応募した施工会社は組合員からの推薦もあり得る。

・組合員が推薦した施工会社が「首都圏の支店での談合疑惑に名前があったこと」だけを理由に施工会社選定から無条件で排除した場合に推薦した組合員から「疑わしきは罰せずという基本的な考え方に反する不適切な判断である」と言われ兼ねない。

・見積すら取得しないでその施工会社を排除すると、後日推薦者から選定した別の施工会社の見積よりも安く見積を出すことが出来たと主張された時に「後出しじゃんけん」となってしまい手の打ち様が無い。

これらの理由からその会社を談合問題のみで特別扱いすることなく、これまでと同じように選定を進めることが必要だと思います。
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