いくつかの管理組合から耐震改修についての質問を受けています。

私もいろいろなセミナーに参加するだけではなく、構造設計事務所を打ち合わせをしています。

なかなか書きにくいのですが、構造設計事務所はマンションの耐震診断や耐震設計をやりたがりません。

その理由は、計画倒れになる可能性が高い・・・

つまり、管理組合に提示した耐震診断、耐震設計、耐震補強工事の費用を見ると計画が頓挫してしまうとこぼすのです。

マンション大規模修繕であれば、築年数、戸数と現地を簡易診断すると誤差が3割前後の工事費をお伝えすることができます。

調査診断を行えば、1割5分前後の誤差、設計を行えば1割をきるぐらいの誤差で工事費のめどが立ちます。

その理由は、会社には200棟以上建物の大規模修繕工事費のバックデータがあるために一戸あたりの工事費が誤差を少なく出せます。

しかし、耐震改修は耐震診断時に綿密な構造計算を行わないと工事費のめどが立たないのです。

建物の形状や築年数、戸数、調査現地だけでは、おおよその工事金額はまったくわかりません。2倍、3倍になることや半分、3分の1になる可能性もあります。

管理組合としては、組合員に対して耐震改修工事について広報するためにできるだけ早い時期に工事の予算を明確化したいという希望があります。

「耐震診断をやってみないと一体どの程度費用がかかるのかわからない」

「費用が積立金の範囲内で納まるかどうかわからない」

「決して安くない金額をかけて耐震診断を行った結果、構造上の問題がわかると結果としてマンションの資産価値が下がる」

これでは、管理組合は耐震問題の解決を先送りしてしまいます。

管理組合の物事の進め方と構造設計のの耐震設計の進め方がうまくかみ合っていないのが、一番の原因です。