「設計監理方式のメリットは第三者の目で工事のチェックが出来る」と多くの本には書かれていますが、本当のメリットはそこにはありません。

管理組合がどのように設計事務所を使うのか?ということにも大きく関係します。

たとえば、設計監理方式以外に施工会社にすべてをお願いする責任施工方式、管理会社にすべてをお願いする管理会社主導方式がありますが、その2つの方式ではできないことが設計監理方式では出来ます。

簡単にいえば、施工会社はひとつの工事の単価を出来るだけ上げたいので工事金額を増やしたいというのが本音です。これは施工会社の目指す方向ですのでそのこと自体が悪いことではありません。

そこに設計事務所がいれば、工事項目の適正化(優先順位をつけること)をお願いすれば、工事項目のなかの優先順位が高い順番で工事金額を再構成してくれます。

また、当初の契約よりも工事項目を増やした法が良いと施工会社から提案があった場合にそれに対する評価も設計事務所に依頼すればよいかと感じます。施工会社の提案どおりに工事を行っていてはいくら積立金があってもすぐなくなってしまいます。

施工会社を信頼してすべてを任せることが間違っているわけでは決してありません。

施工会社を一旦決めてしまうと施工会社同士による競争やセカンドオピニオンといったことがまったく出来なくなってしまいます。施工会社を決めた瞬間からその施工会社と運命共同体にならざるを得ません。

しかし、施工会社に修繕資金の面での相談や長期修繕計画書の見直しをお願いすることは困難です。その理由は彼らの仕事は工事であって、資金計画といったものは決して得意分野ではないのです。

組合員への周知にしても施工会社にお願いしたり組合内で行うよりも設計事務所に依頼したほうが良い場合もあります。