問題の解決のためには

・駐車場会計を一般会計から分離する

・機械式駐車場の将来を計画する(将来予想し、適切な将来計画を立案する)

・この2つのことを総会で承認してもらう

この3つを実行するためにはどう考えても準備に1年以上掛かる問題です。

ところがこの問題を抱える多くの理事会は理事長も含め「負担の低減」「平等負担」を建前に理事を1年で全ての役員を交代としています。

理事会がたった1年間で決められることは限られています。

私が言うのもなんですが、たかが大規模修繕工事でさえ、期をまたぎ(2期もしくは3期)長期に継続する修繕委員会を作り何年も時間をかけ実施しています。

駐車場問題は大規模修繕以上に重要な問題です。

ただし、駐車場問題は修繕工事に比べると問題の深刻さ大きさの割りに問題の存在自体が見えにくく、「先送りの繰り返しが手遅れ」につながっています。

駐車場問題の解決のためには大規模修繕委員会と同様に「駐車場委員会」「施設委員会」を作り長年にわたる継続審議を行うことが必要だと思います。

たとえば、100戸のマンションに100台の駐車場があり、1台あたりの使用料が平均1万円とした場合、年間収入は1,200万円です。大規模修繕の周期である12年を掛けるとそれだけで1億4千万円の収入があります。

じつはこれだけで、建物の大規模修繕工事費が賄えてしまうほどの金額です。

ところが、多くのケースではこの1万円の駐車場使用料が管理費会計に組み込まれ、ほぼ同額の管理費を徴収された上に修繕積立金へ移管する余剰期が年間300万円ほどというマンションもあります。差額の900万円は管理費の不足分に消えてしまいます。

さらに機械式駐車場のメンテナンス費用や将来の入れ替え費用は乏しい修繕積立金会計をあてにしています。

機械式駐車場は導入から25〜30年近辺で入れ替えを行い、そのコストは1台あたり100〜150万円ほどかかります。上記の例で100台の駐車場のうち6割が機械式で4割が平置きとすると入れ替え時に約6,000〜9,000万円の費用がかかります。

これだけの金額はあらかじめ計画的に用意されていないと2年、3年の短期間では用立てできない金額です。

1年ごとに全入れ替えされる理事会、単年度で行われる決算では駐車場利用料が適正に会計処理されている限り問題点が見えにくく、表面上問題は隠れてしまいます。

しかし、10年、20年、30年という長期のスパンで考えるとこの大問題が浮き彫りになります。

駐車場も含んだ長期修繕計画の重要性を改めてご考察願います。