管理組合が陥りやすい罠がもうひとつあります。

それは、設計事務所選定における設計価格のダンピングです。

例えば300戸2棟のマンションの大規模修繕での設計監理見積はおいくらくらいだと思いますか?

ちなみに管理組合が用意した予算は前回の修繕工事の設計監理費を参考に約800万円との事です。

出てきた見積りは

A社 500万円
B社 300万円
C社 450万円
D社 600万円
E社 300万円

でした。

管理組合はまず、どの会社を落としたか分かりますか?

この管理組合B社とE社を「安すぎること」を理由に落としました。

前回の修繕時の設計監理費という「ものさし」があったことと組合内の良識があったことでこのような選択が出来ました。

ところが初めての大規模修繕を行う管理組合には「前回のものさし」がないので最安値の会社に比べて2倍も高いという理由でまず、D社を落選すことが多々あります。

管理組合にd設計事務所選定時の評価のものさしがないため、見積金額だけが唯一のものさしとなってしまいます。

ちなみにこの規模のマンションですと工事費が3億円ほどになりますから設計監理費で300万円というのは工事費に対して1%でしかなく、この金額はあまりにも安すぎます。最高値の600万円としても2%です。

300万円は大金ですがこの差は全体から見れば誤差の範囲です。

作業に掛かる時間を計算すれば600万円が適正だと思います。

このダンピングとも思える安い金額こそが設計事務所を選ぶときの甘い罠になっています。