マンションの耐震化がなかなか進みません。

耐震セミナーに100組合の方が参加されたとして、このうち何組合の方が耐震補強工事を行うと思いますか?

いろいろと調べてみると、耐震セミナーの参加者のうち、耐震診断を行う組合が10%
耐震診断を行った組合のうち、耐震補強工事を行う組合の方が10%となります。

つまり、耐震セミナーに参加された100組の中で耐震補強工事を行う組合はたった1組合しかないそうです。

この原因は、まず、耐震補強工事の費用の捻出が難しいということが上げられます。

1戸あたり最低100万円以上掛かります。1戸あたり400万円掛かることも珍しくありません。

公的な支援制度もありますが、組合員の負担は軽くはありません。

このような状況の中で、「マンション建替え円滑化法」が施行され、具体的に動き出します。
この法律に従えば、区分所有者の同意の緩和や容積率の緩和といったこれまでになかった「特典」が付加されます。

この法律によってこれまで進まなかった旧耐震基準で建てられたマンションの建替えによる耐震化が一気に進むかもしれません。

耐震改修を進めるためには、公的な補助が欠かせませんが、民間主導で建替えを行えば、緩和された容積を分譲して、費用を捻出できるために公的な金銭的支援は不要となります。

建替えとなれば、ディベロッパーだけではなく、解体業者、建設会社、内装業者、電気、給排水業者・・・とその経済波及効果は耐震改修に比べ物にならないくらい大きいですね。

その分、耐震改修に比べ、区分所有者の負担もとても大きくなりますが、資産価値が上がるなら、賛同が得られやすいかもしれません。

行政による「容積率緩和」という、元手の掛からない、いわば「錬金術」で建物の耐震化率を上げることが、目論見なのでしょうか?

「マンション建替え円滑化法」についての東洋経済の記事です。

http://toyokeizai.net/articles/-/53861