大規模修繕工事が迫ってくると、今ある修繕積立金の範囲内で、修繕工事ができるかどうかが大きな問題となります。

修繕積立金の残高の範囲内で工事ができるのであれば、大きな問題にはなりませんが、修繕積立金だけでは。必要な工事ができないケースもあります。

何度も書いていますが、原因を簡単に言ってしまえば、長期修繕計画書の工事費の見方が甘いというか、工事費が低すぎます。

いまどき、50戸未満のマンションで屋上防水、外壁、バルコニー、廊下、階段の修繕を行って1戸あたりの大規模修繕工事費(税込み)が100万円以内で収まるというのは、ちょっと考えられません。

ところが、あるマンションの組合員さんから相談を受けたのですが、管理会社が有償で昨年見直した長期修繕計画書では、1戸あたり税込みで100万円を大きく下回っていました。

その管理会社は「弊社は大規模修繕を行っている設計事務所が出発点ですので、今度の大規模修繕の設計監理はぜひ、弊社に任せてください」とセールスをされたそうです。

「この会社に任せても大丈夫でしょうか?」という質問を受けました。

答えに困りました。

というのも、その管理会社が有償で見直した長期修繕計画書の工事金額と大規模修繕に際して工事見積を取った場合、かなりの確率で大きな差が出ます。

もしも、その管理会社が設計監理を行った場合、責任問題になりかねません。

その際に、理事会役員から「なぜ、こんなに差額が出るの?」と詰め寄られると思います。

私は、最近工事監理を行ったマンション大規模修繕工事費と戸数をいくつか提示して、「想定している工事費が低すぎる可能性があります」とだけお答えしました。

でも、本来は、必要な工事金額を用意しなくてはならないのは、組合員の役割であり責任です。

そのために、管理会社さんに長期修繕計画書の見直しを有償でお願いしたのだとすると、辛いところです。

管理会社さんも、市場調査を行って、あまりに安い工事費を入れなければ良いのにと思います。