このような管理組合さんに対するアピールなのか、先日、仮設足場を建物の廻りに建てないで、安く工事を行う施工会社がマスコミに取り上げられていました。

仮設足場を使わずに、窓清掃に使う高所作業用のブランコで大規模修繕工事を行うようです。

私たちも、調査や部分的な補修工事で高所作業用のブランコを使うことがありますが、大規模修繕では、つかいません。

足元がしっかりとしない場所では、腰が引けた工事になってしまい、工事の品質に疑問があるからです。

もしも、この方法でまったく問題がないのでしたら、日本中の大規模修繕工事は、短期間でこの方法へと一気に変わるはずです。

かつて、カメラはフィルムカメラから一気にデジタルカメラに取って変わられ、携帯電話も一気にスマートフォンへと変わりました。

ワープロ専用機はパソコンにあっという間に変わりました。

時代を遡れば、馬車は列車、車に変わり、レコードはCDに音楽配信へと変わりました。

合理的なものは、瞬く間に普及し、性能は上がり、コストも下がります。

このように考えると、この工法が普及しないのは、どこかに問題があるのだと考えるのが一般的だと思います。

我々、工事の品質を検査する立場からすると、まず、ブランコで工事を行っている人以外は、工事の品質検査ができないことが問題です。

「修繕積立金が貯まっていない」から「安く工事を行う会社を選ぶ」というのは、根本的な部分でボタンを掛け違っていると思います。

本来、大規模修繕工事はどうあるべきか?という視点が抜け落ちているような気がします。

組合員全員が「その場しのぎの対処でかまわない」と思っているのなら、仕方がないですが、少なくない組合員は、「適正な価格でちゃんとした長持ちする工事をしたい」「次回からは資金不足にならないように準備をしたい」と考えていると思います。