分譲マンション大規模に長く関わっていますが、ここ数年の修繕工事費の高騰は、かつて経験したことのない上昇幅であるということを何度かお話しています。

そのような、状況は私たちのような設計事務所よりもマンション管理会社のご担当者の方も、よくご存知のはずですが、組合員の皆様には、なかなか上手く伝わっていないという現実もあります。

分譲会社が分譲時に作成した長期修繕計画書も、工事項目の設定と工事単価の見直しが不充分であれば、そこで想定している工事費が修繕予算の根拠にならない(大幅に想定金額が安い)というケースも少なくありません。

本来は修繕積立金設定の根拠とすべき長期修繕計画書よりも、国土交通省が発表した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で開示された金額のほうが、よほど現実に必要な積立金に近いものです。

にもかかわらず、管理組合の理事や管理会社の中には「国は高い金額を提示している」「実際はこんなに必要ない」「工事会社の中には安く工事ができる会社がある」と「現実と大きく乖離した希望」を信じたい人もいます。

一般論になってしまいますが、人間というのは「自分が望む答えを信じやすい」という習性があるようです。

積立金の値上げを避けたい組合員としては、建設関係の友人やマンション管理士から「工夫さえすれば、修繕工事費を抑えることができて、積立金も国土交通省の金額まで、値上げしないで済ませることができる」という話が聞ければ、それを信じたくなります。

しかし、現実は国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で示した金額は適正かやや安め(ガイドライン発表後に工事が高騰したため)です。