新築時の分譲会社が非を認め、補償の提示が出た場合ですが、大切なことは、適正な合意ラインを設定し、過剰な要求をしないことです。

新築時の分譲会社に対して、要求できるのは、「本来、あるべき姿にあなたの責任と費用で直してください」ということが基本ラインです。

これ以上のいわゆる慰謝料だとか、迷惑料という項目は、なかなか認められません。

交渉に時間をかけず有利に済ませるのであれば、先方からの補償提案については、納得行く範囲であれば、時間をかけずに受け入れることがポイントとなります。

例えば、タイルの浮きの場合であれば、先方から「経年劣化の目安である外壁面積5%を超える分の補修費用を負担します」という回答が出たとします。

この段階で、5%以上の負担でも、組合が損をしないかどうかの検証を行いました。

検証の結果、工法の変更による減額を大規模修繕工事会社と行い組合が損をしないと納得できた段階で、先方からの提案を受け入れることにしました。提案から回答まで1週間かかりませんでした。

そのため、大規模修繕工事のスケジュールは、増えた外壁タイルを補修する時間が増えただけで、交渉によるロスを最小限に抑えることができました。

組合の中には、「浮いたすべてのタイルの補償をしてもらえないと納得できない」「少なくとも、設計で見込んだタイルより増えた分は保証してもらいたい」となれば、交渉は前に進まなくなります。

交渉ごとは、相手から提示された内容に対して、大枠でYesと言っていれば、交渉は前に進みますし、N0と言えば、前に進まなくなります。

大枠でYesと言って交渉を進め、その中で条件多くの場合は保証金額を詰めていく方がよいかと思います。

補償費用は、浮いたタイルの補修工事費のほかに工事が延長にまった仮設足場代、工事事務所のレンタル費用、工期が延長になった分の現場管理費増加部分、増加した工事に対する設計事務所の工事監理費といった項目が増えてきます。

交渉が長引くと、延びた時間に伴いこれらの補償費用も増加してきます。