これから高齢者専用マンションの大規模修繕に取り組むことになりました。

築25年目、2回目の大規模修繕です。

札幌市内では、高齢者専用マンションの先駆けとなった物件です。

実はこの物件、20代の頃勤めていた東京の設計事務所で新築時の設計を行ったマンションです。

直接かかわってはいませんでしたが、当時の部長さんが毎月、札幌に出張していた物件です。

こんな形で関わるとは、非常に感慨深いものがあります。

この設計事務所は、札幌の物件を多数手掛けており、これまでも何物件か関わったことがありますが、私が在籍した時に設計した物件はありませんでした。

これまでに関わった物件は、どれも築30年以上の物件で、まだ、寒冷地の分譲マンションが完成していなかった頃の物件です。

完成していなかったというのは、経年により雪害、凍害が建物の維持に悪影響を及ぼし、大規模修繕時に改修の必要が必要となったという意味です。

これは、ローン支払いの分譲マンションの歴史が60年しかない(最初の物件は東京都内の四谷コーポラス)ということからもわかると思います。

本格的な寒冷地の分譲マンションの歴史は、1972年の札幌オリンピックから45年程度しかありません。

当時の分譲マンションの設計も手探りだったと思います。

この頃のマンションは、どの建物も日本の名だたる大手設計事務所が手掛けていました。

ところが、劣化以前に寒冷地に適応していないため、大改修を行ったマンションもいくつかあります。

例えば、設計図を見ると、開放型片廊下のマンションで新築をしているのですが、現地に行くと廊下にサッシが入っているマンションがありました。

お話しを伺うと、冬季間の雪の吹き込みがひどく、分譲会社がひと冬越した後に、開放廊下に住宅用のアルミサッシを入れたそうです。

このように、温暖な地域で建物を設計したノウハウをそのまま寒冷地に当てはめると、想像していなかった不都合が出ています。

これまでの大規模修繕工事で改善されていれば良いのですが、改善されていないマンションも少なくないのが現実です。