工事費の値上がりの原因は工事の単価が上がったこともひとつの原因ですが、それがすべてではありません。

その前に、工事費の値上がりといった場合、1戸あたりの工事費が〇万円という考え方をされている方が多いと思いますが、この考え方自体が大きな工事費の値上がりの一つの原因でもあります。

それは、どういう事かと言えば、分譲マンションの建物の大型化と形状の複雑化、バルコニー面積の増大が年々進んでいるためです。

専有面積も大型化していますが、それ以上にバルコニーの数と面積が増えています。

又、以前は直方体に近い単純な形のマンションが多かったのですが、最近は凹凸の多い複雑な形のマンションが増えてきました。複雑な形のマンションは同じ床面積であっても表面積が大きいため、それが工事する数量の増加に繋がっています。

そのため、直方体で小さなバルコニーが1箇所のマンションは1戸あたり100万円程度の工事費という場合もある一方、複雑な形でかつ小規模、バルコニーが3面あるマンションでは、工事費が200万円近くになる場合もあります。

つまり、建物の形状が以前のものと全く異なってきているという事です。

同じ形で、同じ大きさのマンションの工事費の比較ではなく、小さいマンションと大きいマンションを比較すれば、大きなものの工事費が高くて当たり前なのですが、そこの説明をしないで、工事費が上がったと捉えている方が少なくありません。

このような混乱を防ぐためには、大規模修繕の工事費は一戸あたり〇万円という考え方を捨て去る所から始めなくてはなりません。