管理組合の施工会社大規模修繕工事に発注する原資となる修繕積立金が全く不足している組合が増えています。

今の状況では、建物の劣化状況にかかわらず、すぐに大規模修繕工事を行うことが出来ません。

この原因は、ここ数年の急激な工事費の上昇にあります。

工事費の上昇がいつ納まるか?落ち着くのか?

工事費がいつ頭打ちになるかは、誰にも分りません。

このような状況にあって、管理組合の対応は大きく分けて3つに分かれます。

一つ目は、不足する修繕積立金が貯まるまで工事を待つという組合です。

二つ目は、不足額が貯まるまで待っている間に工事費が更に上がり、せっかく貯めた積立金が目減りしてしまうことは否定できない状況です。

不足額している積立金+アルファの金額だけを借入して、急いで工事を行った方が良いと判断する組合です。

つまり予想される工事費の上昇分の金額>借入金の利息金額の合計であれば、早急に借入を行ない、工事を行うという組合も最近は出てきています。

ぱっと見には、工事費の上昇率年2.5%、借入金の利率2.0%には、差が無いように感じますが、ここで大切なのが、工事費の上昇率と借入金の利率の比較ではなく、工事費の上昇分の金額と借入金の利息金額の比較をすることです。 

三つ目は、工事費が貯まるまで待ちたくない上に、借入もしたくない。でも、工事は行いたいので、とりあえず手元にある修繕積立金の範囲内でできる大規模修繕工事にしたいという組合です。

一概には言えませんが、このような手法を取りますと、工事範囲、工事の仕様が中途半端になることが多いので、あまりお勧めできません。

工事の仕様を下げた部分の耐用年数が短くなり、次回の工事間隔が予定よりも短くなるリスクが発生します。

仮設足場を建てる以上仮設足場を使わないとできない工事を大規模修繕時に一通り行うことが最低限の工事範囲であると言えます。

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