分譲マンションに大規模修繕工事が必要なのですが、その理由を正しくご理解いただけていない方も少なくありません。

組合の方に伺うと

屋上防水の保証期間が過ぎたから

塗装がよごれてきたから

タイルがひび割れてきたから

どの答えも間違いではありませんが、根本的な理由ではありません。

究極の答えは、コンクリートと鉄筋を守る為です。

分譲マンションは鉄筋コンクリート造か鉄骨鉄筋コンクリート造です。

いずれも柱、梁、床といった建物を構成する多くの部分は鉄筋コンクリートでできています。

鉄筋コンクリートは鉄筋とコンクリートという二つの材料で出来ています。

二つの材料が一体となって建物を支え、建物に掛かる重さや地震等の外から掛かる力に対抗しています。

それぞれの役割は、鉄筋が建物に掛かる引っ張る力に対抗しコンクリートが建物に掛かる圧縮力に対抗します。

特に問題となるのが、鉄筋です。

鉄筋は空気中では非常にさびやすく、錆びると体積が約8倍となり、引っ張る力を負担しなくなります。

そのため、鉄筋の周りを強アルカリ性であるコンクリートで覆い、鉄筋がさびないようにします。

錆びるということは、酸素と結びつくこと、つまり酸化ですから強アルカリ性のコンクリートで鉄筋を覆います。

鉄筋とコンクリートが健全であれば、鉄筋コンクリートの建物は、100年以上持つと言われています。

そのために、鉄筋コンクリートの表面に塗装等の仕上げ材というなの保護材を塗って鉄筋コンクリートを守っています。

建物の中には、「コンクリート打ち放し」と言って何の仕上げもされていない建物もありますが、こうした建物は、仕上げがある建物よりもコンクリートを厚くして鉄筋を守っています。

しかしながら、鉄筋コンクリートの建物にもいくつかの弱点があります。(つづく)